2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K08232
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 敏昭 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10432931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 俊輔 九州大学, 大学病院, 助教 (10419608)
鳥巣 久美子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20448434)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋肥大 / 慢性腎臓病 / FGF23 / インドキシル硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)患者に心血管合併症が多いこともよく知られており、心筋肥大もCKDのステージが進行するほど罹患率が増加する。CKD患者の死因の一位は心血管病であり、心筋肥大はCKD患者の予後不良因子である。近年、リン利尿ホルモンであるFGF23がCKDの進行とともに血中濃度が上昇し、FGF23の濃度は心筋肥大と相関することが報告された。また、FGF23をマウスの心臓に投与すると心肥大が誘導されることが証明された。しかし、FGF23の分泌刺激はリン以外にも制御されている可能性が示唆されており、またFGF23の分解に関しても不明な点が多い。我々は、尿毒素であるインドキシル硫酸はリン利尿ホルモンFGF23の発現に影響をきたし心筋肥大に繋がる仮説をたて、研究を行った。 ラット心筋細胞H9c2細胞に対して、FGF23蛋白を50ng/dLおよび100ng/mL投与したところ、心肥大マーカー(ANF, BNP, βMHC)および線維化マーカー(αSMA, コラーゲンⅠ)のmRNAの発現上昇を認めた。同様に、H9c2細胞に対して、インドキシル硫酸を0.25mMおよび1.0mM投与したところ、心肥大マーカー(ANF, BNP, βMHC)および線維化マーカー(αSMA, コラーゲンⅠ)、さらに、FGF23のmRNAの発現上昇を認めた。また、マウスに片腎摘出を行い軽度腎障害を惹起し、インドキシル硫酸を投与したところ、インドキシル硫酸により心筋肥大が起こることを確認した。この肥大した心筋にはFGF23蛋白の発現上昇を認めた。これらの結果より、心筋肥大の機序に、FGF23とインドキシル硫酸は関連性がある可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット心筋細胞H9c2細胞に対して、FGF23蛋白を50ng/dLおよび100ng/mL投与したところ、心肥大マーカー(ANF, BNP, βMHC)および線維化マーカー(αSMA, コラーゲンⅠ)のmRNAの発現上昇を認めた。同様に、H9c2細胞に対して、インドキシル硫酸を0.25mMおよび1.0mM投与したところ、心肥大マーカー(ANF, BNP, βMHC)および線維化マーカー(αSMA, コラーゲンⅠ)、さらに、FGF23のmRNAの発現上昇を認めた。また、マウスに片腎摘出を行い軽度腎障害を惹起し、インドキシル硫酸を投与したところ、インドキシル硫酸により心筋肥大が起こることを確認した。この肥大した心筋にはFGF23蛋白の発現上昇を認めた。これらの結果より、心筋肥大の機序に、FGF23とインドキシル硫酸は関連性がある可能性がある。実験はおおむね予定通り遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋細胞H9c2に対してインドキシル硫酸の投与によりFGF23の受容体であるFGFR4のリン酸化が促進するかを検討する。インドキル硫酸の受容体であるAryl hydrocarbon receptor(AhR)をsiRNAで抑制し、インドキシル硫酸によるFGF23の上昇が抑制されるかを検討する。さらに、マウスに腎摘出を行いインドキシル硫酸を投与し、心筋肥大を惹起したモデルに対して、FGFR4の中和抗体を投与することにより、インドキシル硫酸による心筋肥大が抑制されるかについて検討する。
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