2022 Fiscal Year Research-status Report
Abberent mitochondrial metabolism as a cause of salt-sensitive hypertension
Project/Area Number |
21K08234
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
下澤 達雄 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (90231365)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高血圧 / 食塩 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / 腎臓 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
食塩感受性高血圧症は予後不良の病態である。それゆえ、食塩感受性高血圧の発症予防方法の検討が必要である。我々は腎臓のナトリウム―クロール共輸送体(NCC)の異常が食塩感受性高血圧に関与し、その異常がエピゲノム変化、酸化ストレス増大によることを報告した。しかし、臨床的には遠位尿細管での酸化ストレス増大メカニズムは不明である。本研究では遠位尿細管においてはミトコンドリアを用いたエネルギー代謝が盛んであることに着目し、マウス由来遠位尿細管細胞(mDCT)におけるNCC活性化とミトコンドリア機能について検討を開始した。本年はmDCT細胞にNCCが発現していることを確認の上低酸素ならびに高糖条件下での培養を行いミトコンドリア由来酸化ストレスとNCCの発現、リン酸化の変化を検証した。その結果、低酸素、あるいは高糖条件下ではNCCの転写には変化がないものの、低酸素ではリン酸化が亢進すること、高糖では抑制されることが確認された。またMitoSOXを用いたミトコンドリア由来酸化ストレスについて確認したところ、低酸素では特に酸化ストレスが高くなっていた。低酸素下でMito-TEMPOにてミトコンドリア由来酸化ストレスを除去したところNCCのリン酸化が80%程度抑制された。 mDCT細胞で認められた事象が血圧と関連するかについてマウスの間歇的低酸素モデルを用いて検証した。2週間の低酸素負荷にてマウス腎臓においてNCCのリン酸化を認めた。また血圧の夜間の血圧低下が認められず、24時間を通じて血圧が維持された。一方NCC欠損マウスでは血圧変動は維持され、夜間に血圧が低下した。夜間と日中での腎臓NCCリン酸化に有意な差を見出していない。今後夜間に血圧が高いこととNCCの関連について検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞実験で認められた結果が動物実験で必ずしも再現されていないことから更なるメカニズムの解明が必要と考え、追加の検討が必要となったためやや遅れていると判断した。 また高糖の状態でのミトコンドリア呼吸鎖の検討が十分に行えなかったためやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
NCCのリン酸化が低酸素と高糖では異なる挙動を示したことに対しMitoSOXを用いた確認実験を行い、さらにミトコンドリア呼吸機能および解糖系の挙動についての検討を行う。またこれらの変化についてHEK細胞を用い、mDCT細胞に対する特異性について検討を行う。 NCCのリン酸化の日内変動についてはリン酸化酵素SPACk/OSRの発現と合わせて検討を行う。NCCの転写についても日中、夜間の変化を正常酸素およびIHモデルで比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
動物実験における餌、飼育費用が予算以下に抑えることができた。また、試薬については昨年度の繰り越し分を使うことで予算以下に抑えることができたため。
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Research Products
(4 results)