2023 Fiscal Year Research-status Report
フロント阻害薬ジスルフィラムによるマクロファージ阻害を介した糖尿病腎線維化の抑制
Project/Area Number |
21K08240
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
遠藤 陽子 日本医科大学, 医学部, 非常勤講師 (70755082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 章 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (00256942)
遠田 悦子 日本医科大学, 医学部, 教授 (00589327)
中村 元信 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40459524)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / マクロファージ / FROUNT / Disulfiram / 間質線維化・尿細管萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病患者さんの腎障害においては、糸球体障害からの糖尿病性腎症を発症することもあり、間質線維化・尿細管萎縮(IFTA)から腎機能低下へとつながる病態が注目されている。腎臓は障害を受けると、浸潤したマクロファージを介して、IFTAが進行する。マクロファージの遊走に関わるケモカインレセプターの促進因子FROUNTの阻害薬として見出された既存薬Disulfiram (DSF)を、腎障害を確認した糖尿病モデルラットに投与した。ラットから、尿、血液、臓器検体、活性を保った状態の尿細管を回収した。尿においてはアルブミン尿を押さえる効果を確認したが、尿細管障害マーカーについては、抑制効果は確認できなかった。腎組織検体では、組織学的に、間葉系のマーカーから尿細管間質障害(線維化)を抑制する効果を確認している。マクロファージの浸潤についても調節されていることを確認した。線維化抑制のメカニズムについて、炎症や線維化を惹起するサイトカインの測定を行っている。DSF投与による尿細管機能の変化について、イオンチャンネルの活性化の実験から検討し、こちらは尿細管機能の低下が無いことを確認した。マクロファージについて、尿細管上皮細胞との共培養により、上皮間葉転換を抑制することを確認した。 また、DSF長期投与による他臓器への影響について、血液や組織から検討したが、これまでの所、臓器毒性は確認されていない。 現在は、FROUNT欠損動物の糖尿病モデル作成と、ストレプトゾトシンの投与方法の条件検討を行っている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尿検体から、尿細管障害マーカーの変化が無く、新しいマーカーの検索を引き続き行っているが、該当するものが見つかっていない。 FROUNT欠損動物の糖尿病モデルの作成が順調ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
線維化抑制のメカニズムについて、サイトカインの測定を続ける。 尿の尿細管障害マーカーの検索は、網羅的な物質の解析(質量分析や蛋白分析など)を行う。 FROUNT欠損動物を動物種から検討したうえで、糖尿病モデルの作成方法も検討する。
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Causes of Carryover |
線維化に係るサイトカイン測定、尿検体からの線維化マーカーを検出するための網羅的解析、実験モデル動物の作成、この動物から得られた検体の測定や染色、これらの研究のための費用が必要です。
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