2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel therapy for diabetic nephropathy using lipid metabolism
Project/Area Number |
21K08245
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊原 敬文 東北大学, 医工学研究科, 特任講師 (60594182)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / 脂質代謝 / AADAC |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症は透析導入原因疾患の第一位であるが、血圧と血糖のコントロールのみの治療では不十分であり病態解明や有効な治療法の開発が急務である。糖尿病腎症の進展抑制における血糖・血圧管理の有用性については豊富なエビデンスがあるが、脂質管理についてはこれまであまり解明されていなかった。糖尿病や肥満においては全身臓器の細胞内に脂肪が蓄積し、いわゆる‘脂肪毒性’を引き起こす。糖尿病性腎症においても腎臓の構成細胞(内皮細胞、糸球体足細胞、近位尿細管)の脂肪蓄積が脂肪毒性を引き起こすことが知られている。 申請者は最近心血管疾患に‘罹患しにくい’糖尿病患者と‘罹患しやすい’糖尿病患者からiPS細胞を7株ずつ作製し血管細胞(血管平滑筋、内皮細胞)に分化誘導して、比較することで、心血管疾患に‘罹患しにくい’患者の血管平滑筋ではArrylacetamide Deacetylase(AADAC)という小胞体リパーゼが発現上昇していることを明らかにした。また、AADACの働きを解析すると上記脂肪毒性を抑制する可能性が考えられた。 本研究では腎臓におけるAADACの脂質毒性抑制作用による糖尿病性腎症の改善効果を検討する。AADACの発現調節による尿細管細胞の保護は内皮細胞や足細胞にも影響して保護的に作用すると考えられ、iPS細胞由来腎臓オルガノイド 、遺伝子改変マウスを用いてその連関を検討する予定としていた。 初年度は腎臓特異的なAADAC遺伝子改変マウスの作製や腎臓オルガノイド作製の準備などを行い、今後AADACの腎臓における働きを解析する準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り交配を行うことで尿細管特異的AADAC発現/ノックアウトマウスを作製することができた。またiPS細胞から腎臓オルガノイドを作製する細胞および物品準備についても予定通りに整っている。一方で東北大学病院患者の中から糖尿病性腎症になりにくい患者iPS細胞を作製することは困難であったが、代替としてHarvard大学で作製した長期に糖尿病罹患にもかかわらず比較的腎症の進行が遅い患者由来iPS細胞を入手したため、そちらを使用する予定としている。一部計画に変更はあったものの、概ね予定通り進行しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書で予定をしていた通り作製した尿細管特異的AADAC遺伝子改変マウスからは糖尿病性腎症モデルを作製し、生理的解析とともに遺伝子や脂質の解析を行う予定である。糖尿病性腎症になりにくい患者iPS細胞からは腎臓オルガノイドを作製して同様に遺伝子や脂質の解析を進める予定にしている。解析を行うことで腎臓における脂肪毒性に対するAADACの作用を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響もあり、本来購入を予定していた培地の納期が大幅に遅れているため。
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Research Products
(9 results)