2022 Fiscal Year Research-status Report
フルクトース代謝を標的とした糖尿病性腎臓病の病態解明と新規治療法の開発
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21K08254
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
石本 卓嗣 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00534835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小杉 智規 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90584681)
古橋 和拡 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50835121)
平山 明由 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 准教授 (00572405)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / フルクトース代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) KHK-C依存的フルクトース代謝の抑制による、異常解糖系の改善・DKDの進展抑制効果を解明する。 CRISPR-Cas9システムにより作成したKHK-Cのみを欠損するKHK-C KOマウスおよびKHK-A KOマウス、KHK-A/C KOマウス、野生型マウスを用い、ストレ プトゾトシン誘導性の糖尿病モデルを作成した。経時的に採尿し、尿NGAL・尿アルブミン濃度をモニターしつつ、当初予定よりも観察期間を延長し、生後10-11ヶ月時点で採血・採尿・各種臓器の採取を行った。現在、腎障害の評価を開始している。また、KHK-Cを強制発現した不死化近位尿細 管細胞HK-2にフルクトース・グルコース刺激を行い、過剰なフルクトース代謝の解糖系(ECAR)・ミトコンドリア呼吸(OCR)への影響を、細胞外フラックスア ナライザーにより解析した。 2)KHK-Cを選択的に阻害する核酸医薬を作成し、DKDおよびMS・脂肪肝に対する新規治療法を開発する。 KHK-Cを選択的に阻害するsiRNAを作成し、KHK-Cのノックダウン効率およびKHK-Aへの影響を含めたオフターゲット効果を評価した。同様の配列を用い、KHK-Cを 選択的に阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドを作成した。同時に、アンチセンスオリゴヌクレオチドの腎尿細管細胞への導入効果を評価するため、先行して用意していたSGLT2を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドをマウスに投与し、腎における発現抑制効果およびその体内分布の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KHK-Cノックアウトマウスを含めた複数のノックアウトマウス(KHK-C KO、KHK-A KO、KHK-A/C KO)のコロニーを拡大し、野生型マウス含めてストレプトゾトシ ン誘導性の糖尿病モデルを作成しており、経時的に尿NGAL・尿アルブミン濃度を測定することで遺伝子改変マウスにおける腎障害を評価し、組織検体採取・評価時期の検討を行った。結果として、当初計画より長期の病態モデルとなったことから、評価開始時期もやや遅れることとなった。 また、KHK-Cを選択的に阻害する核酸については、siRNAにおいて有用な配列が同定でき、またアンチセンスオリゴヌクレオチドについても有効性を確認出来ている。並行して行っていたSGLT2を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドのマウスへの全身投与における検討にて、副作用を回避するアンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾および投与量の検討に予定以上の時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)KHK-C依存的フルクトース代謝の抑制による、異常解糖系の改善・DKDの進展抑制効果を解明する。 ストレプトゾトシン誘導性の糖尿病モデルについて、想定よりも病態モデルの維持期間が延長したもののすでに全群の屠殺は終了した。今後は採取した組織・血液・尿検体の解析を進める。培養細胞を用いたフラックスアナライザーによる検討については、結果の取りまとめを行う。 2)KHK-Cを選択的に阻害する核酸医薬および低分子化合物を作成し、DKDおよびMS・脂肪肝に対する新規治療法を開発する。 マウスへの全身投与において、腎尿細管においてmRNA発現抑制効果を有しかつ他臓器含めた副作用を抑制したアンチセンスオリゴヌクレオチドの作成を進める。その後、病態モデルマウスへのアンチセンスオリゴヌクレオチドの全身投与による治療効果を検討する。
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Causes of Carryover |
2022年4月に愛知医科大学腎臓リウマチ膠原病内科教授に就任した。異動後は共同研究を継続している名古屋大学 腎臓内科・慶応大学において研究活動を継続しつつ、愛知医科大学での解析のための研究室の工事含めた環境整備を行っていたため、次年度使用額が生じてい ます。遺伝子改変マウスの愛知医科大学への移送に時間を要しているが、動物実験は名古屋大学にて実施・終了している。
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Research Products
(3 results)