2021 Fiscal Year Research-status Report
IgA腎症における血尿の形態的基盤構築 ~的確で特異的な治療介入促進を目指す~
Project/Area Number |
21K08264
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高木 美幸 順天堂大学, 医学部, 特任助教 (80599895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 祐介 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (70372935)
角田 宗一郎 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (80551209)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 血尿 / FIB-SEM / IgA腎症 / 馬杉腎炎モデル / grouped ddyマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではIgA腎症での血尿発症機序解明のため、FIB-SEM法を用いた係蹄壁の超微細構造解析を目的としている。具体的な研究計画としては、血尿が生じている際の糸球体係蹄壁の微細構造の異常を解明するため、馬杉腎炎ラットおよびIgA腎症自然発症マウス(grouped ddY:gddY)マウスの糸球体係蹄壁構造のFIB-SEMを用いての三次元的形態観察を行い、腎炎の活動性と腎機能によって係蹄壁障害時の糸球体上皮細胞、基底膜、内皮細胞がどのように構造変化を起こすのか分析し、さらにはヒトIgA腎症における糸球体の観察で検証することで、ヒト腎炎における係蹄壁の微細構造の異常がどのように尿所見異常に反映されるかを解明することを予定している。 R3年度は、活動性の高い腎炎における血尿の発生過程を観察、解析することを目的として馬杉腎炎ラットのFIB-SEMを使った糸球体係蹄壁(糸球体上皮細胞、基底膜、内皮細胞)を観察すること、血尿発生時の係蹄壁の構造変化(それぞれの細胞の相互作用も含めて)を分析することを計画していた。 馬杉腎炎モデル糸球体を観察したところ、まずは腎糸球体係蹄の基本構造を明らかにすることができた。しかしながら、赤血球漏出像など血尿の責任病変は捉えられず、さらには形態異常はみられるものの、個体差が大きいこともあり、腎炎特異的なのかどうかの判別が難しいことがわかった。 そこで、当初は令和4年度に予定していたgddYマウスの観察を予定を前倒して開始し、馬杉腎炎モデル、IgA腎症モデルの形態異常について、観察マウスの数を増やして形態異常の比較検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、活動性の高い腎炎における血尿の発生過程を観察、解析することを目的として馬杉腎炎ラットのFIB-SEMを使った糸球体係蹄壁を観察すること、血尿発生時の係蹄壁の構造変化を分析することを計画していた。 馬杉腎炎モデル糸球体を観察したところ、腎糸球体係蹄の基本構造を明らかにすることができたものの、赤血球漏出像など血尿の責任病変は捉えられず、また個体差が大きいこともあり、形態異常が腎炎特異的なのかどうかの判別が難しいことがわかった。 そのため、馬杉腎炎モデルのみで評価することが難しいと判断し、当初は次年度に予定していたIgA腎症モデルであるgddYマウスの観察を並行して開始した。gddYマウスと馬杉腎炎モデルとの比較検討を続けているが、まだ検討数が少なく評価するには足りないことから、当初計画していた馬杉腎炎モデルマウスの血尿発生時の係蹄壁の構造変化を分析することには至っていないため進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、引き続き馬杉腎炎モデル、IgA腎症モデルの形態異常について、観察マウスの数を増やして形態異常の比較検討を継続する。 同時に、上記マウスモデルのFIB-SEM解析と並行して、ヒトIgA腎症腎生検組織について、ヒト腎生検組織はFIB-SEM用に固定や包埋ができなこともあり、ミクロトームにて1000枚に及ぶ多数かつ広域(1000×2000μm)の断面の連続超薄切片を作成し糸球体全体を三次元的に観察するシステムを使ったArray Tomography(AT)による解析を開始し、ATによるヒトIgA腎症(特に組織学的に活動性が高く、臨床的に血尿が多い症例)の観察を行うことで、マウス腎炎の形態異常と、ヒトIgA腎症の血尿に関する形態異常の比較、解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度に予定していた馬杉腎炎モデルの形態学的観察が予想外に進まなかったことから、当初予定していたマウス数、それに伴う腎炎惹起薬剤について購入数が予定よりも少なかったため。 令和4年度は、引き続き馬杉腎炎モデル、IgA腎症モデルの形態異常について、観察マウスの数を増やして形態異常の比較検討を継続予定であり、繰越金および今年度交付額はそのための薬剤、マウスの購入と、FIB-SEM解析のための資料作成、撮影費としての利用を予定する。 同時に、上記マウスモデルのFIB-SEM解析と並行して、ヒトIgA腎症腎生検組織について、Array Tomography(AT)による解析を開始し、ATによるヒトIgA腎症の観察を行う予定であることから、撮影、画像解析に関する利用費としても使用の予定である。
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