2023 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンアミドによる慢性腎臓病の治療・予防と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
21K08269
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 信行 東北大学, 薬学研究科, 教授 (40588456)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 恵美子 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (20466543)
堰本 晃代 東北大学, 薬学研究科, 分野研究員 (40781745) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ニコチンアミド / 慢性腎臓病 / 蛋白尿 / ネフローゼ症候群 / IgA腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究成果 腎臓は血液をろ過する糸球体と濾過液の水電解質等を調節する尿細管からなる。慢性腎臓病は成人の8人に1人が罹患する新たな国民病であるが、進行性の病気であり、有効な治療薬はない。ビタミンB3であるニコチンアミドは慢性腎臓病のマウスモデルであるアデニン誘発性腎症の発症予防に非常に有用であった。一方、ニコチンアミドは完成したアデニン腎症を改善・回復せず、予想に反して、腎性骨症は悪化し、骨はもろくなった。糸球体上皮のポドサイトの障害はタンパク尿の原因となり、慢性腎臓病を悪化させる。抗ガン薬のアドリアマイシンは多量の尿蛋白を示すネフローゼ症候群と高度な腎障害を呈するモデルである。ニコチンアミドはアドリアマイシンによるポドサイト障害・タンパク尿・糸球体硬化・慢性腎臓病の予防に非常に有用であった。ポドサイト細胞を用いた実験では、ニコチンアミドから作られるNADがアドリアマイシンによる細胞障害を予防した。Gタンパク質共役型受容体の中でもG12タンパク質共役型受容体は多いが薬のターゲットとなっているものはあまりない。そこで、アドリアマイシン腎症を予防・改善するG12タンパク質共役型受容体がポドサイトで発現しているか解明する準備を行った。糸球体障害による慢性腎臓病で患者数も多いIgA腎症のモデルマウスでは、ニコチンアミドが腎臓の線維化を予防し、妊娠高血圧症候群とIgA腎症の進行を抑制する傾向を示した。その機序の解明を進めている。
研究の意義・重要性 慢性腎臓病は、進行性で腎不全となりうる疾患である。現在、慢性腎臓病を回復させることはできず、その進行を抑制し、心血管疾患の発症を避けることが治療目標である。本研究の成果は、慢性腎臓病を回復させることのできる新規治療薬・新規治療法の開発に資するのみならず、ひいては健康寿命の延伸に繋がることが期待される。
|
Research Products
(3 results)