2021 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Mondoによる腎近位尿細管オートファジー・エネルギー代謝制御機構の解明
Project/Area Number |
21K08276
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高畠 義嗣 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30403075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00379166)
酒井 晋介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60817360)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MondoA / 近位尿細管 / 虚血再灌流 / オートファジー / ミトコンドリア / Rubicon / リソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
近位尿細管オートファジーは急性腎障害(AKI)のみならずAKI後の慢性腎障害(CKD)(AKI to CKD)への進展を抑制する。したがってオートファジーを亢進させることがAKIあるいはAKI to CKDの治療法の候補となる。しかしこれらの病態におけるオートファジーはリソソームストレス等の要因により停滞しがちであり、過剰なオートファジーの誘導は却って腎傷害を増悪させる。そのため、オートファジー制御因子の詳細な解明が必要である。そこで本研究ではオートファジーを制御する転写因子MondoAに注目した。MondoAあるいはその下流因子であるTXNIPの発現は虚血再灌流 (I/R)直後に低下し、その後再上昇した。次にMondoAの近位尿細管特異的ノックアウト (KO) マウスを用い、I/R 腎におけるMondoAの役割について検討した。KOマウスのI/R腎では、組織傷害の増悪、ミトコンドリア機能障害、電子顕微鏡にてオートリソソーム数の減少が観察された。さらにMondoA KO培養近位尿細管細胞を樹立し、低酸素・再酸素化におけるオートファジー活性を評価したところKO細胞で低下がみられ、ミトコンドリア膜電位が低下した。KO細胞はオートファジー抑制遺伝子であるRubiconの発現上昇がみられたことから、Rubicon・MondoAダブルノックダウン培養細胞を樹立し、低酸素・再酸素化を行ったところ、KO細胞で低下したオートファジー活性の改善がみられた。MondoA・Rubiconの近位尿細管特異的ノックアウト (DKO) マウスを作成し、I/Rによる腎組織傷害を確認したところ、野生型マウスと同程度の改善がみられた。以上よりMondoAは近位尿細管においてRubiconの発現を制御することでオートファジー活性を維持し、腎保護的に作用することが示唆された。
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