2021 Fiscal Year Research-status Report
Therapeutic effects of Vasohibin-2 peptide vaccine against chronic kidney diseases
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21K08278
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田邊 克幸 岡山大学, 大学病院, 助教 (40534805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / ワクチン療法 / Vasohibin-2 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は糖尿病性腎症と腎間質線維化の動物モデルを作成し、Vash2トランスジェニックマウスでの血管新生促進因子Vasohibin-2 (VASH2)の病態への関与の解明と、VASH2ペプチドワクチンによる進行抑制効果について検討することを目的としている。本年度は糖尿病性腎症のマウスモデルに対するVASH2ペプチドワクチン接種の有効性について検討を行った。6週齢の雄性C57BL/6マウスに対してVASH2ペプチドワクチンを2週間の間隔で2回皮下接種し、その後に50mg/kgのstreptozotocinを5日連続で腹腔内投与して糖尿病モデルを作成した。VASH2ペプチドワクチンは非糖尿病マウスと糖尿病マウスの両方において、接種後4週以降に内因性抗VASH2抗体の産生を誘導した。IgGサブクラスの解析では、このVASH2抗体はIgG1が主体であり、ワクチン接種によるTh2優位な免疫反応の惹起が示唆された。また、VASH2ペプチドワクチンの接種は心臓、肺、肝臓、腎臓、大動脈などの主要な臓器に炎症を引き起こすことはなかった。VASH2ペプチドワクチンの接種は、非糖尿病マウス及び糖尿病マウスにおいて血糖値、HbA1c値、収縮期血圧、体重に有意な影響を及ぼさなかったが、糖尿病による尿中アルブミン排泄の増加はVASH2ペプチドワクチン非接種の糖尿病マウスと比較して接種された糖尿病マウスにおいて有意に減少していた。以上の結果から、VASH2ペプチドワクチンの接種が糖尿病性腎症の発症・進行を抑制する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の主たる目的の1つである糖尿病性腎症におけるVASH2ペプチドワクチンの有効性を証明することができた。VASH2ペプチドワクチンの効果は、糖尿病に伴う血糖値の上昇や血圧変化とは独立して認められていることから、内因性VASH2抗体の産生によるVASH2抑制が腎障害の発症・進行に直接的に作用したものと考えられた。しかし、その作用機序については未だ明確ではなく、糸球体内の炎症や血管新生関連因子の発現などについて解析を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はVASH2ペプチドワクチンが糖尿病性腎症に有効性を示す機序の解析を進めていくとともに、VASH2がTGF-βシグナルを亢進させる報告があることから、腎線維化のマウスモデルにおけるVASH2ペプチドワクチンの有効性についても検討を行う。更に、糖尿病性腎症や腎線維化におけるVASH2発現の意義を詳細に検討するために、新たに作成したVash2トランスジェニックマウスを用いて糖尿病性腎症及び腎線維化モデルを作成し、腎臓に起こる変化を野生型マウスと比較する。
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