2021 Fiscal Year Research-status Report
進行性糖尿病性腎臓病の病態におけるシステイニルロイコトリエン受容体1の役割の解明
Project/Area Number |
21K08290
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40434469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 客員教授 (70242980)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / プランルカスト / 炎症 / オートファジー / 腎尿細管間質 |
Outline of Annual Research Achievements |
(目的)糖尿病腎の炎症の病態形成と腎病変の進展におけるシステイニル ロイコトリエン受容体1(CysLTR1)の果たす役割をCysLTR1拮抗薬プランルカストを用いて解明する。 (研究成果)実験1:Wistar fatty (WF)ラットに対するプランルカストの糖尿病性腎臓病の進展抑制効果の検証。36週齢雄のWFラットに8週間にわたり、プランルカスト3mg/kgあるいは対照液の投与(ゾンデにて投与)を行った。その結果、プランルカスト投与により、WFラットで認められる腎尿細管間質病変が軽減された。実験2: 培養ヒト近位尿細管細胞(HK-2細胞)の高ブドウ糖によるオートファジーおよび炎症の変異に対するプランルカストの効果の検証。対照群(5mMブドウ糖含有培地に25mMマンニトールを添加)と比較して, 高ブドウ糖群(30mMグルコース含有培地)にて有意なp-AMPK発現の低下およびp-S6RP発現の増加を認めた(24時間培養後)。また、プランルカストは、1~50μMの附置にて、1~10μMでは用量依存的に、10~50μMでは、ほぼ同等に、HG培養下において、p-AMPKの増加およびp-S6RP発現の低下、LC3-II発現の増加を認めた。プランルカストの細胞毒性に関して、MTTアッセイおよびLDH releaseアッセイにて評価したところ、50μMでのみ細胞毒性を示した。また、HGにより誘導されるCysLTR1, p-S6RP発現の増加, p-AMPK発現の低下は, プランルカスト10μMの附置にて、CysLT1R、p-S6RP発現は低下、p-AMPK発現は増加を認めた。LC3II発現は、プランルカストにより有意な増加を示した。HGにより誘導される炎症性変異に関しては、p-NF-κB、NLRP3、IL-1β、TNF-α発現は、プランルカスト10μMの附置にて有意な低下を示した。以上の結果から、プランルカストは、培養HK-2細胞において、高ブドウ糖刺激によるp-AMPKの活性低下とmTORC1の活性化ならびにオートファジーの低下、炎症性変異を改善することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、HK-2を用いた培養細胞実験では、プランルカストが、高ブドウ糖にて誘導されるp-AMPKの活性低下、mTORC1の活性化、オートファジーの低下ならびに炎症性変異を改善することを示すことができた。また、現在、ラットを用いた実験を施行しているが、プランルカストは、糖尿病状態の腎尿細管間質病変を軽減することを見出していることから、本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
・HK-2を用いた培養細胞実験では、プランルカストの高ブドウ糖刺激に対する細胞保護効果が、CysLTR1を介した効果かどうかに関して、CysLTR1のノックダウン系を用いて検証する。 ・ラットを用いた動物実験では、得られたサンプルについて、細胞実験で認められた現象が動物にても認められるか、栄養応答シグナル変異、オートファジー、線維化ならびに炎症性変異について更に解析を進める。 ・細胞実験にて、プランルカストの高ブドウ糖刺激に対する細胞保護効果が、CysLTR1を介した効果であれば、CysLTR1ノックアウトマウスを用いた検証を行う。
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