2022 Fiscal Year Research-status Report
CARD11遺伝子変異に基づくアトピー性皮膚炎の病態・臨床像の解明
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21K08293
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
稲葉 正子 筑波大学, 附属病院, 病院助教 (60881521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 博満 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20392079)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / CARD11 / CARD11遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.東北メディカルメガバンク(ToMMo)の日本人約20,000人のゲノムデータを解析し、アトピー性皮膚炎の既往のある群と健常群の間で保有率に有意差のあるCARD11遺伝子バリアントを抽出した。得られたCARD11遺伝子バリアントの一覧と正常集団との比較解析を行い、病的と考えられる候補バリアントを抽出した。抽出したゲノム情報は共同研究の鹿児島大学の研究グループに譲渡し、機能解析を実施中である。 2.筑波大関連施設で収集したアトピー性皮膚炎患者(78名)の末梢血から胚細胞系列細胞のDNAを抽出し、次世代シーケンサを用いた全エクソン解析を行った。同定したCARD11遺伝子のゲノム情報は1と同様に鹿児島大学の研究グループに譲渡し、機能解析を行う。バリアント毎の臨床像およびリンパ球機能を把握するため、収集した患者の診療録および血液検査結果の後方視的調査、リンパ球解析(フローサイトメトリー)を実施した。現在これらの結果を解析中である。 3.筑波大関連施設で収集したアトピー性皮膚炎患者(78名)において、1で抽出した病的候補バリアントの保有の有無をダイレクトシークエンスにより確認し、変異保有者を同定した。また、CARD11遺伝子変異以外にアトピー性皮膚炎と関連が示唆される遺伝子の変異がないか確認するため、その代表遺伝子としてフィラグリン遺伝子の変異の有無をダイレクトシークエンスにより確認し、変異保有者を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
covid-19の流行やアトピー性皮膚炎の治療薬の変化により地域の連携病院へ診療移行する患者が増えたため、病的候補バリアント保有者からの追加検体(末梢血)の収集が困難となり、予定していた実験の一つであるWestern-blottingによるASCT2蛋白の発現解析の実施は難しい見通しとなった。それ以外の実験についてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
筑波大関連施設で収集した患者において、CARD11蛋白のmRNA定量解析を行う。病的候補バリアント保有者においてmRNAの発現が低下しているか、また、mRNAの発現量と患者リンパ球解析の結果および血液検査(IgE値など)の結果に関連があるかを解析する。 また、鹿児島大で解析した変異体細胞の表現型とこれらの解析結果が一致するかを確認する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により検体収集の見通しがつかなくなり、中止した実験が一つあったため。
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