2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K08296
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
牧野 輝彦 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (90359711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 忠道 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (70260396)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 表皮角化細胞 / フィラグリン / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.proFLG-ABT誘導DNA分解におけるDNase1L2、DNase2、TREX2、CADの作用の解析 proFLG-ABT誘導DNA分解における各DNaseの関与を検討するため、DNase1L2、DNase2、TREX2、CADに対するsiRNAを用いて培養表皮角化細胞(NHKs)に導入し各mRNAが有意に抑制されることを確認した。さらに各酵素の抑制の細胞増殖への影響を検討した。DNase1L2、DNase2の発現を抑制したNHKsは対照と比較しやや増殖が抑制されていたが有意な差ではなかった。これらの酵素を発現を抑制したNHKsにproFLG-ABTを導入し細胞死(DNA分解)に差が生じるか検討したが、いずれの酵素を抑制してもproFLG-ABTによる細胞死は抑制されなかった。以上よりproFLG-ABTによる細胞死はDNase1L2、DNase2、TREX2、CADの作用と関連は低い可能性が示唆された。 2.proFLG-ABTと核内で結合する分子の角化への関与の検討 昨年度より継続してproFLG-ABTと核内で結合する蛋白質、ERH、eIF6、SOCS7のNHKsにおける作用を解析している。まず、約分子の発現をsiRNAで抑制したNHKsの増殖について繰り返し検討したところ、ERH、eIF6の抑制によりNHKsの増殖は有意に抑制されたが、SOCS7の抑制では対照と概ね差がなかった。これらの分子と細胞増殖との関連を検討するため、皮膚有極細胞癌(SCC)と基底細胞癌(BCC)の組織を用いて免疫染色を施行し、ERH、eIF6は正常表皮と比較しSCCおよびBCCの核でより強く染色されることを確認した。現在ERH、eIF6の抑制がMAPK signal pathway、PI3K/AKT signal pathwayにどのように影響しているか解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
proFLG-ABTによる細胞死(DNA分解)にこれまで表皮の角化に関与していると報告されていたDNase1L2、DNase2、CAD、TREX2が関与しないことが示され、proFLG-ABTによる細胞死に関与するシグナルの解析対象がカルパインⅠ-AIFに絞られたため。さらにproFLG-ABTと核内で結合する蛋白質も細胞の増殖や分化への関与が明確になりなり、それぞれの分子がNHKsの増殖・生存・アポトーシスに関するシグナル解析に着手できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
カルパインⅠ-AIFがproFLG-ABTによる細胞死にどのように関わっているかに着目し、カルパイン抑制NHKsにおけるAIFの動態について解析する。さらにDNase1L2、DNase2、TREX2、CADがNHKsの角化の際のDNA分解に関与しないかを確認するため、各酵素をsiRNAで抑制したNHKsで3次元皮膚モデルを作成し角層における核の消失について解析する。 またERH、eIF6、SOCS7の抑制がNHKsと皮膚有極細胞癌株であるHSC1細胞、A431細胞においてMAPK signal pathway、PI3K/AKT signal pathwayにどのように影響しているかを解析する。
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Causes of Carryover |
購入した物品の想定額と納入額の差が生じたため。次年度消耗品に充てる予定。少額であるため使用計画に影響はない。
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