2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the mechanism of atopic dermatitis based on the association between antimicrobial peptide LL-37 and autophagy
Project/Area Number |
21K08309
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ニヨンサバ フランソワ 順天堂大学, 国際教養学部, 教授 (60365640)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗菌ペプチド / オートファジー / アトピー性皮膚炎 / バリア機能 / ケラチノサイト / 皮膚感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)の病態においては遺伝的要因や環境要因の関与が示唆されているが、その発症の推移の詳細は未だに解明されていない。 また、ADの十分に有効な治療法はまだ確立されていない。ADの皮膚では抗菌ペプチド発現制御異常と角質層/タイトジャンクション(TJ)バリア機能の破綻が認められるが、この問題に対して、私は抗菌ペプチドであるLL-37が皮膚TJバリア機能を向上することを発見した。オートファジーとADの関係を示すエビデンスの例として、ADで発現が低下する角化マーカーが、オートファジー欠損マウスにおいても同様に減少する。このように皮膚の恒常性維持やAD病態におけるオートファジーの重要性が示唆されているが、LL-37誘導性オートファジーと皮膚バリア機能との関連性、そして抗菌ペプチドとオートファジーの相互作用に係る報告がない。本研究では、「LL-37を介したオートファジー活性化による皮膚バリア機能の向上」という構図の解明を目的とする。 その結果、LL-37がヒトケラチノサイトにおいてオートファジーを促進することがわかった。また、LL-37によって活性化されたオートファジーは、P2X7受容体、AMPK/ULK1経路によって制御されることを確認した。さらに、LL-37はmTORやMAPK経路を介してオートファジーを制御していることも分かった。興味深いことに、オートファジーが欠損したケラチノサイトや、オートファジーの阻害剤で3次元培養皮膚モデルでは、LL-37によって増強していたTJ蛋白質の分布や皮膚バリア機能が抑制された。以上の結果から、LL-37がオートファジーを介して皮膚バリア機能を調節していると示唆された。本研究より、LL-37はオートファジーを促進することで、ADなどの皮膚バリア機能低下疾患に対する新規治療法へ応用できると期待される。本研究成果が学術雑誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の計画の④オートファジーがTJバリアを調節するメカニズムと⑤ADの特徴を持った角化細胞におけるオートファジー動態を明らかにし、さらに、⑦皮膚特異的オートファジー欠損ADマウスの作成が終了した。また、本研究成果が学術論文に掲載済み。このことから、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後は、①ADモデルマウスの皮膚バリア機能に対するLL-37の役割の解明、②ADモデルマウスにおける皮膚バリアおよび抗菌ペプチド発現へのオートファジーの影響と③ADマウスにおいてオートファジー制御治療の有効性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた「アトピー性皮膚炎モデルマウスの皮膚バリア機能に対するLL-37の役割」の動物実験の数を増やすために、2022年度に実施せずに、その分の予算を繰り越して、次年度中使う予定である。 使用計画:マウス、試薬、消耗品の購入。
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