2021 Fiscal Year Research-status Report
アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いたIL-4刺激による脳への作用機序解明
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21K08310
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石氏 陽三 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20366199)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 難治性痒み / インターロイキン4 / 中枢性感作 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎の痒みは抗ヒスタミン薬の効果が乏しい難治性とされている.この原因として,中枢性感作が一因とされている.その中枢性感作は,薬物依存などと類似の脳活動を生じていると考えられ,その中心的な役割を果たしているのが脳内報酬系である.一方,アトピー性皮膚炎の病変部では,痒みにも重要な働きをしているIL-4を中心としたType2炎症が生じているが,IL-4の脳に対する影響は不明である.重度の痒みに対する治療創薬のためには,脳における痒み過敏のメカニズム,中枢性感作の解明が不可欠である.本研究では,MRIを駆使して、IL-4を中心とした痒み刺激時の脳活動を解明することを目的としている. 本年度は,慢性的な痒み刺激時の脳活動を機能的に評価するため,アトピー性皮膚炎モデルマウスと乾癬モデルマウスの脳活動についてMRIを用いて解析を行った。剃毛した背部にMC903(カルシポトリオール)を連日10日間外用,またはイミキモドを連日7日間外用することにより皮膚炎を誘導した8~10週齢マウスをそれぞれアトピー性皮膚炎モデル,乾癬モデルとして使用した。MRIによる解析の結果,現時点でコントロールマウスと慢性掻痒モデルマウスとの間に顕著な差異は見出せていないことから、皮膚で十分に炎症が誘導されていても脳への影響は不十分である可能性が示唆された.これにより,慢性掻痒モデルマウスの皮膚炎誘導条件(誘発期間やマウス週齢など)をさらに検討する必要性が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、アトピー性皮膚炎モデルマウスと乾癬モデルマウスを用いて,痒み刺激時の脳活動についてMRIを用いて解析を行い,慢性掻痒モデルマウスの条件検討を具体的に進めることができたため,「おおむね順調に研究が進展した」と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
慢性掻痒モデルマウスの皮膚での炎症が脳にも影響を及ぼすための条件検討をさらに進めるため,今後は皮膚炎誘導するマウスの週齢を変化させたり,誘導期間を延長したりしてMRI解析に最適な条件を探る.同時に,免疫染色により脳内報酬系を中心とした痒みの脳伝達機構に重要な各主要脳部位の神経炎症を組織学的に評価する予定である.
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