2022 Fiscal Year Research-status Report
自家毛髪細胞による毛髪再生医療の実現化:臨床結果と相関する誘導因子同定とその活用
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21K08311
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
新山 史朗 東邦大学, 医学部, 准教授 (80286286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 弓子 東邦大学, 医学部, 博士研究員 (20918916)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 壮年性脱毛症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が取り組んでいる自家毛髪細胞(毛球部毛根鞘細胞 dermal sheath cup cells:DSCC)を用いた毛髪の再生医療は、壮年性脱毛症患者へ新たな治療法を提供 する可能性を有した画期的な細胞治療法であり、既に日本国内で初の細胞治療の臨床試験を開始している。
頭皮組織中で再生能力を有した状態のDSCC (intact DSCC)を、再生能力を維持したまま細胞培養により増殖させ、治療に十分な細胞数を確保することは臨床応用の上で最重要の技術課題である。本課題を克服すべくintact DSCCの遺伝子プロファイリングを実施し、intact DSCCに特異的に発現するgremlin (GREM2)をはじめとした因子群のプロファイリングに成功しており、毛包の自己再生能に特徴的である毛周期と連動したGREM2の発現様式についてヒト皮膚組織で詳細に検証しつつある。GREM2が毛包の発生様式に重要なシグナル因子である、bone morphogenetic protein (BMP)のアンタゴニストであることに着目し、BMPシグナル及び関連するWntシグナル因子との関連付けについてもエビデンスを得ている。更に、GREM2がDSCCで特異的に発現し、DP細胞や一般的な皮膚の線維芽細胞で発現量が少ないことから、GREM2をDSCCの毛包誘導能の保持を判定する指標の候補因子としての利用が期待される。
本研究課題は再生能力の維持に必須の因子、生理条件を確定することにより、治療の有効性を向上させることを目的とする。更に、毛髪の再生機構は腎臓、心臓、肺等の重要な内臓器官と類似点が多く、本研究で明らかにされた因子および生理条件は再生医療全般の治療技術の向上への貢献が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでにサンプルは入手できているので、おおむね当初の予定通りに解析進行中。
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Strategy for Future Research Activity |
I.治療用DSCでの発現量測定と臨床成績との相関解析:我々がintact DSCCのプロファイリングで見出しているGREM2及び他のDSCC特異的発現因子について、臨床試験に供した66例の被検者より採取保存されているDSCCサンプルから個別に抽出したRNAを用いて、その発現量を測定し、既に得られている治療成績とGREM2発現量の相関性について多変量解析を含む手法により詳細に検証する。
II.DSCCの特性解析と誘導能の検証:治療に用いたDSCCより有効性が顕著であった被検者群と、有効性が乏しかった群について、複数サンプルよりRNAを抽出し、シングルセル解析を実施することで多様性が予測されるDSCCのサブグループ化を行い、これまでの研究機関で得られたDSCC特異的因子の発現量の差異を検証すると共に、有効性の高いDSCCの特性を更に高次の機能解析レベルで明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
試薬購入が予定数を下回った他、解析費用に未使用額が生じた。 次年度は、解析費用や学会参加や論文投稿への費用に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)