2023 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫の腫瘍特異的疲弊T細胞に発現する新規接着因子の機能解析と臨床応用
Project/Area Number |
21K08314
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
盛永 敬郎 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 研究員 (30757000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪爪 隆史 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (80334853)
冨樫 庸介 千葉県がんセンター(研究所), がん治療開発グループ 細胞治療開発研究部, 客員研究員 (80758326)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント / 細胞接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬(ICB)は、PD-1など免疫チェックポイント分子によって免疫応答が不活性化(疲弊)している腫瘍特異的T細胞を再活性化して、治療効果を発揮する。ICBは悪性黒色腫への効果が証明されているが、まったく無効な症例もあり、ICBで活性化できないT細胞の分子機構解明は急務である。我々は悪性黒色腫患者検体の腫瘍浸潤T細胞のシングルセルシークエンス(scRNA-seq)から、腫瘍特異的T細胞に既知の免疫チェックポイント分子以上に高発現する分子として、CD106を同定した。この研究課題で我々は、CD106が腫瘍浸潤T細胞で発現する分子機序、同分子発現の効果と臨床的意義を調べた。 当該分子はCD8陽性T細胞においてT細胞受容体の活性化によりNFκB依存的に発現上昇しており、CD3と分子間結合してCD3の細胞表面発現量を低下させる。CD106を高発現させた細胞ではT細胞受容体からのシグナル伝達が減弱する一方で、CD8Cre依存的なCD106ノックアウトマウスでは、腫瘍浸潤T細胞のCD3発現レベルやインターフェロンγなどのエフェクター機能に関わる分子の発現レベルが高く、腫瘍増殖を抑制し、抗PD1抗体による治療効果が有意に高まった。また臨床検体の組織染色から、CD106及びCD8陽性T細胞が高度に浸潤したメラノーマ患者においては免疫チェックポイント阻害薬がより高い効果を示すことが明らかとなった。 研究期間全体を通して、これらの研究及び関連する研究の成果については国内学術集会での演題及び国際学術誌で2報の原著論文を発表した。
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Research Products
(2 results)