2023 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝を基盤とした皮膚バリア形成の分子機序の解明
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21K08315
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
平林 哲也 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術支援センター, 主席研究員 (90345025)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アシルセラミド / 皮膚バリア / ケラチノサイト / 脂質代謝 / 経費水分蒸散 / コレステロール硫酸 / PNPLA1 / CLE |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、表皮特異的に発現する脂質代謝酵素群の欠損マウスを用いた表現型解析により、主に以下のような研究の進展があった。 1) ω-O-アシルセラミドの合成酵素であるPNPLA1の欠損マウスを用いて、表皮の各脂質代謝物をLC/MSにより定量すると、角質細胞脂質エンベロープ(corneocyte lipid envelope; CLE)の主要構成脂質である結合型セラミドの形成過程に生じるω-O-アシルセラミド由来の中間代謝物(エポキシアルコール体、エポキシエノン体など)はほぼ消失していたのに対し、ω-O-アシルセラミドの構造異性体である1-O-アシルセラミドは顕著に増加していた。また、コレステロール硫酸が大幅に増加していることが判明し、コレステロールに硫酸を付加する酵素ステロイドスルホトランスフェラーゼの発現上昇と、コレステロール硫酸を分解するステロイドスルファターゼの発現量減少に起因することが示唆された。一方、他の魚鱗癬モデルマウスではそういった表皮の脂質組成変化はほとんど見られなかったことから、見出した特定の脂質成分の増加はバリア機能の異常によって生じているわけではないと考えられた。 2) 遅発性魚鱗癬の原因遺伝子として報告されたLIPNおよびそのパラログ群に関して多重欠損マウスを作製して解析した結果、LIPN欠損マウスは経皮水分蒸散量(TEWL)をはじめとした透過性バリア指標に異常は見られなかった。しかしながら、作製した欠損マウスのうち1系統が新生児致死を引き起こし、さらに別の系統はアレルギー接触性皮膚炎モデルにおいて症状が緩和された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
魚鱗癬モデルマウスの新生児致死を回避する目的で、タモキシフェン誘導性の遺伝子欠損マウスの作製を計画していたが、入手したCreドライバー系統が想定通りに機能せず、他の系統に変更する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、以下の点に特に重点的に取り組む。 (1) 角層バリア機能に不可欠な結合型セラミドと結合する因子の探索 (2) LIPNパラログの遺伝子欠損マウスの表現型解析 (3) 時期特異的に皮膚バリア機能を低下可能なモデルマウスにおける炎症応答
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Causes of Carryover |
導入したマウス系統が期待通りに機能せず、モデルマウスの繁殖計画を繰り下げる必要が生じたことと、それに伴い研究成果発表予定の学会を2024年度に変更したため、次年度使用額が生じた。未使用額は、モデルマウスの繁殖やジェノタイピングのための人件費・謝金、学会発表のための旅費、参加費などを主に予定している。
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