2021 Fiscal Year Research-status Report
新規水疱性類天疱瘡モデルマウスを用いた抗BP230自己抗体の解析
Project/Area Number |
21K08316
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤村 大輔 弘前大学, 医学研究科, 教授 (60196334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 康司 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (50322946)
中野 創 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90281922)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 類天疱瘡 / 自己抗体 / 自己免疫性疾患 / 基底膜 / 自己抗体 / 水疱 / 高齢者 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,表皮のみでマウスBp230遺伝子が欠損するコンデショナルノックアウトマウスを作成した.そのマウスではBP230の表皮特有ドメインが異物として認識されることを利用して,抗BP230自己抗体産生を可能にし,新しい水疱性類天疱瘡モデルマウスの作成に成功している.そのモデルマウスやそのマウス作成戦略を用いて,抗BP230自己抗体の詳細な解析や抗BP230抗体を有する類天疱瘡の病態解明を行うことが,本研究の目的である.令和3年度は、モデルマウスにおけるBP230に対する自己抗体の病原性やエピトープの解析を行った。モデルマウスの脾細胞を採取する.それらの細胞とマウス骨髄腫細胞株をPEGにて融合し,限界希釈法とELISAを組み合わせて,陽性クローンを得た.その後,陽性クローンのエピトープの解析をペプチドマイクロアレイ法にて行った.さらに、水疱性類天疱瘡では,外傷や紫外線などによる表皮細胞の破壊が契機となることがあり,それが表皮細胞内にあるBP230の免疫系への暴露となる可能性があると考えられている.我々は予備的な実験で,免疫不全マウスに皮膚潰瘍を形成してからリンパ球を投与すると症状が重症化することを確かめている.そこで,外傷,UVB照射,接触皮膚炎が,モデルマウス誘発や症状の重症化に関与するかを確かめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、モデルマウスにおけるBP230に対する自己抗体の病原性やエピトープの解析、外傷,UVB照射,接触皮膚炎が,モデルマウス誘発や症状の重症化に関与の検討を行い、計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、つぎのような研究を計画している。すなわち、水疱性類天疱瘡患者にある抗BP230抗体のエピトープの解析をおこなうと,BP230のC末端に優位に反応するがN末端や中心部に反応する抗体も存在する.実際に,それらの抗体の病原性を確かめる方法がないので,どの抗体が発症に関与しているのかは不明である.そこで,BP230のすべての領域を網羅するリコンビナントペプチドで,ノックアウトマウス免疫し,脾細胞をRag2-/-マウスに投与して,病変の有無を確認する.もし,病変の誘発が認められれば,ハイブリドーマーの作成,モノクローナル抗体を単離し,エピトープを決定する.近年,Hayakawaは,本症患者153例の自己抗体の解析から,41例が抗BP180抗体のみ,67例が両方の抗体を,47例が抗BP230抗体のみを持つ,と報告した.さらに,抗BP230抗体のみの症例は,症状が軽く,各種治療に対する反応もいいとしている.そこで,今回えられたモデルマウスを用いて,ステロイド,IVIG,各種免疫抑制剤の治療効果を検討する.さらに、近年,BP230遺伝子変異で生ずる単純型表皮水疱症の存在が報告された.その症例の多くは,表皮特有ドメインに変異があり,神経や筋で発現するアイソタイプには影響がない.我々の研究がスタートした時点では,まだ遺伝子編集技術が確立されていなかったので,複雑なコンデショナルノックアウトの系を使用した.そこで,遺伝子編集の技術を用いて単純に,表皮特有ドメインに一致するエクソンに,数塩基を挿入し点変異マウスを作成する.そのマウスで水疱の有無などを,コンデショナルマウスと比較する.さらに,水疱性類天疱瘡のモデルマウスを同様の手法で作成する.
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