2022 Fiscal Year Research-status Report
全身性強皮症におけるTLR7およびTLR9の役割についての解析
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21K08320
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 忠弘 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (20746383)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / Toll-like receptor 7 / Toll-like receptor 9 / ブレオマイシン誘発強皮症モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、改めて検体数を増やしてブレオマイシン誘発強皮症モデルにおける皮膚硬化および肺線維化の評価を行った。8-10週齢の野生型マウス(Balb/c)、Toll-like receptor (TLR)7欠損マウス、TLR9欠損マウスの背部皮下にそれぞれブレオマイシン溶液(1mg/mL)300μLを4週間、隔日で皮下注射した。その後にそれぞれのマウスの皮膚および肺組織を採取し、Hematoxylin-Eosin染色、Masson Trichrome染色にて線維化の程度を評価した。皮膚の線維化に関しては、野生型マウスとTLR7欠損マウスの間に有意差はなかったが、TLR9欠損マウスでは野生型マウスおよびTLR7欠損マウスに比べ有意に悪化がみられた。肺の線維化に関しては、野生型マウスとTLR9欠損マウスの間に有意差はなかったが、TLR7欠損マウスでは野生型マウスに比べ有意に線維化の程度が軽度であった。このように、ブレオマイシン誘発強皮症モデルにおける検討では、皮膚に関してはTLR9欠損マウスで線維化の増悪がみられ、肺に関してはTLR7欠損マウスで線維化の軽減がみられた。 さらに、ブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスの脾臓を用いて制御性T細胞、Th17細胞、制御性B細胞、エフェクターB細胞の割合をフローサイトメトリーで解析した。この結果、TLR7欠損マウスでは制御性T細胞の割合が野生型マウスおよびTLR9欠損マウスよりも増加していた。Th17細胞・制御性B細胞・エフェクターB細胞に関しては、野生型マウス・TLR7欠損マウス・TLR9欠損マウスの間に有意差はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブレオマイシン誘発強皮症モデルにおける野生型マウス・TLR7欠損マウス・TLR9欠損マウスの皮膚および肺の線維化の評価は予定通り遂行することができた。 一方、マウスの成育が予定より遅れたため、ブレオマイシン誘発強皮症モデルマウス(野生型マウス、TLR7欠損マウス、TLR9欠損マウス)の皮膚および肺に浸潤した炎症細胞(T細胞、制御性T細胞、B細胞、マクロファージ)の免疫組織化学的な評価は次年度に行うこととなった。皮膚および肺組織におけるmRNA(IL-6、IL-10、IL-13、TNF-α、INF-α、IFN-β、IFN-γ)およびCOL1A2をコードするmRNAをreal-time reverse transcription PCR (real-time RT-PCR)法を用いて定量的に評価する実験も次年度に行うこととなり、計画の達成度はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスの皮膚および肺に浸潤した炎症細胞を免疫組織化学的な手法で評価する予定である。 また、皮膚および肺組織におけるサイトカイン(IL-6、IL-10、IL-13、TNF-α、INF-α、IFN-β、IFN-γ)およびCOL1A2をコードするmRNAを、real-time reverse transcription PCR (real-time RT-PCR)法を用いて定量的に評価する予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度はマウスの成育が予定より遅れたためブレオマイシン誘発強皮症モデルマウス(野生型マウス、TLR7欠損マウス、T LR9欠損マウス)の皮膚および肺に浸潤した炎症細胞(T細胞、制御性T細胞、B細胞、マクロファージ)の免疫組織化学的な評価は行わなかった。また、組織局所におけるサイトカインをreal-time RT-PCR法を用いて評価する実験も遂行できなかった。この結果、上記実験で使用する試薬を購入しなかったために次年度使用額が生じた。 今後の使用計画として、前述した免疫組織化学染色やreal-time RT-PCRを行うための試薬の購入に充てる予定である。
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