2021 Fiscal Year Research-status Report
シングルセル解析を用いた劣性栄養障害型表皮水疱症における遺伝子型-表現型相関解析
Project/Area Number |
21K08324
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新保 敬史 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70780609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 表皮水疱症 / シングルセル解析 / 遺伝子型-表現型相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
劣性栄養障害型表皮水疱症は、反復性の水疱形成を伴う皮膚遺伝性難病であり、現在根治的治療法はない。本疾患は、表皮と真皮をつなぐ皮膚基底膜構成因子であるVII型コラーゲンをコードするCOL7A1遺伝子の変異により発症する。患者は生涯にわたって全身熱傷様症状に苦しむ。本研究では、患者ごとに病態が大きく異なる劣性栄養障害型表皮水疱症における遺伝子型-表現型相関を解明し、遺伝子診断情報に基づいた正確な病態予測を可能にするための基盤情報の集積を目的としている。具体的には、迅速マウスゲノム編集技術を用いて患者由来遺伝子変異を有したモデルマウスを複数作製し、遺伝子型と病態(表現型)を対応させることを計画した。さらにモデルマウスをシングルセル技術により詳細に解析し、患者由来変異が引き起こす変化を1細胞レベルで評価する予定である。本年度はまず劣性栄養障害型表皮水疱症患者に比較的高頻度に認められる3つの遺伝子変異に着目し、同等の変異を有した遺伝子改変マウスの作出に取り組んだ。具体的には、p.Glu2857X(2857番目のグルタミン酸がストップコドンに置換)、c.5818delC(5818番目のシトシンが欠失することにより下流にストップコドンが出現)、c.6573+1GtoC(6573番目の塩基の3'側に隣のグアニンがシトシンに置換され、スプライシング異常が発生)の3変異に着目した。選択した3つの遺伝子変異をホモで有するマウスラインの作製に成功した。さらにそれぞれのマウスを交配することで患者で認められる複合ヘテロ接合性変異マウスの作製にも成功した。樹立された複合ヘテロ接合性変異マウスをシングルセルレベルで網羅的遺伝子発現解析を行う、患者由来変異が皮膚の恒常性維持メカニズムに与える影響についても解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一番順調に進捗しているものを選ぶ。 本研究計画では、iGONAD法を用いた遺伝子組み換えマウスの作出が、根幹かつ律速ステップである。遺伝子組み換えマウスの作製は極めて順調に進んでいる。令和3年度は、日本人劣性栄養障害型表皮水疱症患者で比較的高頻度に検出される3つの遺伝子変異(p.Glu2857X、c.5818delC、c.6573+1GtoC)に着目し、それらをホモで有する遺伝子組み換えマウスの樹立をなし得た。極めて順調に進んだため、次年度に実施することを計画した複合ヘテロ接合性変異マウスの作出にも前倒しで取り組み、p.Glu2857Xとc.5818delCを有する複合ヘテロ接合性変異マウスの作出にも成功した。樹立したマウスの皮膚をシングルセルRNA-seq解析で解析し、病態解析も行った。得られた結果の一部は、学術誌に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は、極めて順調に進んでいる。今後も当初の計画内容を精力的に推進していく予定である。具体的にはp.Glu2857Xとc.6573+1GtoC、c.5818delCとc.6573+1GtoCの2変異を有する複合ヘテロ接合性変異マウスの作出に取り組む。それらのマウスをシングルセルレベルで網羅的遺伝子発現解析、網羅的エピゲノム解析に供していく。マウス作出が当初の予定よりも極めて順調に進んでいるため、得られたシングルセルデータの解析により注力し、劣性栄養障害型表皮水疱症における遺伝子型-表現型相関を解明に引き続き取り組む。
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Research Products
(1 results)