2022 Fiscal Year Research-status Report
Maintenance of skin resident memory helper T cell survival by macrophages
Project/Area Number |
21K08325
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村田 暁彦 鳥取大学, 医学部, 助教 (90624221)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 常在性記憶T細胞 / マクロファージ / 接触過敏症 / アトピー性皮膚炎 / 皮膚局所の免疫記憶 / 生存ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は皮膚常在性記憶ヘルパーT細胞の生存機構を解明することを目的とする。生存ニッチを特定するため、接触過敏症を経験した皮膚に形成され長期間維持される常在性記憶ヘルパーT細胞が皮膚内で接して存在する細胞群に関して、皮膚切片の免疫染色を用いてさらなる検討を行った。炎症治癒後40週にわたり、約90%の皮膚常在性記憶ヘルパーT細胞が血液細胞(CD45+)と接して維持されていた。個別の細胞種としては60%以上がマクロファージ(CD11b+, F4/80+, Folr2+, MerTK+, CD68+)に、15%弱が単球または血管内皮細胞(Ly-6C+, CD31+)に、15%前後が樹状細胞(CD11c+)に、数%がマスト細胞(Kit+)に接して維持されていた。接着するマクロファージは、MHC class II陽性が陰性のものより多かった。炎症を経験した皮膚では常在性記憶ヘルパーT細胞だけでなく、これらニッチとなりうる細胞群も増加し維持されていた。 接触過敏症の系では皮膚常在性記憶ヘルパーT細胞のうち、どれが真に抗原特異的なT細胞か特定できないという問題があった。そこで、ある抗原に特異的なT細胞受容体の遺伝子を人工的に発現させたT細胞を野生型マウスに移植し、特異的な抗原で免疫して遅延型過敏症を生じさせる系を構築した。この系においても治癒した皮膚に、移植したT細胞由来の抗原特異的常在性記憶ヘルパーT細胞が形成され、その60%が増加したマクロファージに接着して存在することが確認された。 さらにこの系を用い、貪食細胞を殺すクロドロン酸リポソームを皮内投与すると、局所的にほとんどの皮膚マクロファージを除去することができた。このとき同時に常在性記憶ヘルパーT細胞も大部分が除去されたことから、マクロファージを含む貪食細胞が常在性記憶ヘルパーT細胞の主な生存ニッチとして機能することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生存ニッチとして機能する可能性がある、皮膚常在性記憶ヘルパーT細胞が接して存在している細胞についてのおおまかな全体像を掴むことができた。さらにその中で、マクロファージを含む貪食細胞が主な生存ニッチとして機能していることを、マクロファージの除去とともに常在性記憶ヘルパーT細胞も消失するという実験結果から示すことができた。 見るべき標的細胞が定まったことから、次年度以降、皮膚マクロファージが常在性記憶ヘルパーT細胞の生存を支持する分子機構を探索する段階に到達できた。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージが皮膚常在性記憶ヘルパーT細胞の主な生存ニッチであることが示唆されたことから、この細胞が供給する生存因子の特定を試みる。炎症が治癒した皮膚から常在性記憶ヘルパーT細胞とマクロファージを単離し、遺伝子発現解析を行い、マクロファージが産生し生存因子となりうる分子を探索する。また、in vitroで皮膚から単離した常在性記憶ヘルパーT細胞とマクロファージを共培養し、常在性記憶ヘルパーT細胞の生存が維持される系を確立する。候補の生存因子について、抗体や薬剤による阻害実験を通じて、生存に必要なものを特定する。さらに特定した因子の関与について、炎症を経験した皮膚に阻害抗体や阻害剤を投与し常在性記憶ヘルパーT細胞が消滅するか確認することで、生存維持機構を解明する。
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