2022 Fiscal Year Research-status Report
皮膚アレルギー病態におけるケラチノサイト由来神経ぺプチドの役割解明
Project/Area Number |
21K08326
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松尾 佳美 広島大学, 病院(医), 助教 (50754355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 雄輝 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (40452586)
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Project Period (FY) |
2022-02-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経ペプチド / ケラチノサイト / 自然リンパ球 / マスト細胞 / 好塩基球 / 皮膚アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
神経ペプチドの一種であるNeuromedin-U (NMU) は、ヒト皮膚ケラチノサイトに貯蔵され、自然免疫受容体等を介して放出される。また、NMUは皮膚マスト細胞やヒト2型自然リンパ球(ILC2)を活性化するため、アトピー性皮膚炎等の皮膚アレルギー疾患に密接に関与していることが予想される。本研究では、皮膚のケラチノサイト由来のNMUに注目し、ケラチノサイトからのNMU放出機構の解明、さらに、皮内に放出されたNMUが皮膚マスト細胞、ILC2、好塩基球や他の免疫細胞を活性化し、皮膚アレルギー疾患を誘導する仕組みを明らかにする。具体的には、①皮膚ケラチノサイトに発現する温度感受性チャネルTRP受容体の同定と各々の受容体リガンドによるNMU産生・放出機構を解明、②マスト細胞、ILC2以外のNMU受容体を発現する細胞の同定とNMU刺激による応答を解明する、加えて、3次元培養ケラチノサイトとヒト皮膚マスト細胞、ILC2、ヒト末梢血白血球を使用して、③ケラチノサイト-免疫細胞の3次元共培養評価モデルの開発と、ケラチノサイトから放出されたNMUによるマスト細胞・ILC2、他の免疫担当細胞を介した2型炎症の誘導について検討することを目的とした。本年度は、時間的制約とコロナの流行により手術件数が減りヒト皮膚マスト細胞やヒト皮膚ケラチノサイトの培養ができなかったため、②における末梢血好塩基球のNMU受容体の発現細胞について検討を行った。これまでNMUはMRGPRX2受容体を介してヒト皮膚マスト細胞の脱顆粒を誘導する事が解っていたが、最近、ヒト好塩基球においても特定の条件下でMRGPRX2が発現すると報告されたため、どのような条件において末梢血好塩基球のMRGPRX2発現を増強する条件について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の大学業務の増加による時間的制約と、コロナウイルス感染症の流行により手術件数が減り、ヒト皮膚マスト細胞とヒト皮膚ケラチノサイトを回収する検体数が減ったため、あまり研究を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画通り、項目①③について研究を進める。また、②についても2022年度に引き続き、どのような条件下において末梢血好塩基球のMRGPRX2の発現が増強されるかを確認し、NMU刺激による応答を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は研究代表者の大学業務の増加による時間的制約と、コロナの流行により手術件数が減り、ヒト皮膚マスト細胞とヒト皮膚ケラチノサイトを回収する検体数が減ったため、あまり研究を進めることができず、次年度使用額が生じたが、今後は計画通り、マスト細胞やILC2の培養やケラチノサイト-免疫細胞の3次元共培養評価モデルの開発に取り組む予定としており、研究費を使用予定である。
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