2021 Fiscal Year Research-status Report
多角的な研究方法による抗ラミニンガンマ1類天疱瘡の自己抗体の特異性と病原性の検討
Project/Area Number |
21K08331
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
橋本 隆 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (20129597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TEYE KWESI 久留米大学, 付置研究所, 助教 (30599303)
立石 千晴 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40597308)
石井 文人 久留米大学, 医学部, 准教授 (80330827)
鶴田 大輔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90382043)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己抗原 / 自己抗体 / 自己免疫水疱症 / ラミニンガンマ1 / ファージディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫性水疱症は抗皮膚自己抗体によって水疱を形成する自己免疫性疾患で死に至ることもある。抗ラミニンγ1類天疱瘡はIgG抗ラミニンγ1抗体を示す自己免疫性水疱症で、現在まで疾患モデルは確立されておらず、ラミニンγ1は全身に発現しているにも関わらず皮膚以外の組織に病変を示さない理由は解明されていない。本研究では、ラミニンγ1ノックアウトHaCaT細胞、ラミニンγ1リコンビナント蛋白、ファージディスプレイ法による病原性抗ラミニンγ1抗体作成、疾患モデル構築などの多角的研究により病因解明を目指す。 当該年度中に大阪市立大学と久留米大学皮膚科で多くの自己免疫性水疱症症例の診断検査を施行し15名の新たな抗ラミニンγ1類天疱瘡症例を渉猟した。 その間にCRISPR-Cas9法によりラミニンγ1をノックアウトした培養HaCaT細胞を用いた蛍光抗体法と免疫ブロット法で、抗ラミニンγ1類天疱瘡患者自己抗体がラミニンγ1へ特異的に反応することを証明した。本実験の副産物として各種の培養細胞が異なる分子量のラミニンγ1を発現していることが判明したため、今後、異なる組織の培養細胞を用いて患者自己抗体が表皮ラミニンγ1のみに反応する機序を解明する。 また、ラミニンγ1リコンビナント蛋白による患者血清吸収実験とELISA法の確立のためラミニンγ1リコンビナント蛋白を大量生産した。 また、最終的な疾患モデル実験では大量の病原性抗ラミニンγ1抗体が必要となるため、ファージディスプレイ法によるモノクローナル抗体の作成を目指して、研究協力者の橋本講司と本実験の遂行法について検討を進めた。すでに、必要な実験器具と実験試料を購入し、次年度早々から実験開始する予定である。なお、橋本講司は当該年度中に米国留学から帰国し名古屋大学理学部にて研究を開始したため、次年度から研究分担者になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、CRISPR-Cas9法によりラミニンγ1をノックアウトした培養HaCaT細胞を用いた蛍光抗体法とその細胞抽出液を用いた免疫ブロット法で、抗ラミニンγ1類天疱瘡患者自己抗体がラミニンγ1へ特異的に反応することを確認することができた。またラミニンγ1リコンビナント蛋白による患者血清吸収実験とそのリコンビナント蛋白を用いたELISA法の確立のため、ラミニンγ1リコンビナント蛋白を大量生産した。 また、ファージディスプレイ法によるモノクローナル抗体の作成を目指して、研究協力者の橋本講司と検討を進め、すでに必要な実験器具と実験試料を購入し、次年度早々から実験開始する体制を構築した。 また、今までのいろいろな実験から、抗ラミニンγ1類天疱瘡血清のラミニンγ1への反応性が低いことが示されたため、より感度の高いラミニンγ1リコンビナント蛋白によるELISA法の確立が必要なことが示唆された。その実験のため、現在ラミニンγ1リコンビナント蛋白の大量生産を進めている。さらに次年度、そのELISA法を効率的に施行するため自動ELISA洗浄装置を購入する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も大阪公立大学と久留米大学皮膚科で多くの自己免疫性水疱症症例の診断検査を施行し、新たな抗ラミニンγ1類天疱瘡症例の情報と血清サンプルを渉猟する。また、大量生産したラミニンγ1リコンビナント蛋白を用いて、そのリコンビナント蛋白を用いた患者血清の吸収実験により抗ラミニンγ1類天疱瘡自己抗体のラミニンγ1への反応の特異性と単一性を確認する。またそのリコンビナント蛋白を用いたELISA法の確立を進める。 疾患モデル実験では大量の病原性抗ラミニンγ1抗体が必要となるため、抗ラミニンγ1類天疱瘡患者B細胞を用いたファージディスプレイ法によりラミニンγ1に対する病原性モノクローナル抗体を作成する。さらにこの抗ラミニンγ1モノクローナル抗体の可変領域遺伝子を完全ヒトIgG型抗体発現用ベクターにクローニングしHEK293細胞に導入することで完全ヒトIgG型の抗ラミニンγ1モノクローナル抗体を作製する。 前年度の研究から、各種の培養細胞が異なる分子量のラミニンγ1を発現していることが判明したため、今後異なった培養細胞を用いて患者自己抗体が表皮ラミニンγ1のみに反応する機序を解明する。まず、多数の異なった培養ケラチノサイトと表皮以外の組織の培養細胞の抽出液と抗ラミニンγ1モノクローナル抗体と用いた免疫ブロット法を行って、ラミニンγ1の多様性を確認する。その後、これらの異なった培養細胞抽出液の免疫ブロット法を用いて、抗ラミニンγ1類天疱瘡患者血清の異なったラミニンγ1への反応性の有無を検討することにより、患者自己抗体が皮膚に特異的に反応する機序を解明する。 疾患モデルとして、ex vivoヒト皮膚切片疾患モデルと、新生マウス動物疾患モデルの手技を確立し、その疾患モデルを用いて、上記のように作成した完全型ヒト型モノクローナル抗体の病原性の確認実験を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に使用する予定であったファージディスプレイ用試薬とELISAの自動洗浄機を次年度に購入するため。
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[Presentation] Comparison of two diagnostic assays for the detection of anti-laminin 332 autoantibodies in patients with mucous membrane pemphigoid2021
Author(s)
S. Goletz, F. Giurdanella, F. Giurdanella, M.M. Holtsche, A.M. Nijenhuis, B. Horvath, G.F.H. Diercks, T. Hashimoto, D. Zillikens, H. H. Pas, E. Schmidt
Organizer
the International Pemphigus Pemphigoid Foundation Scientific meeting Marburg, Germany
Int'l Joint Research / Invited
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[Book] Immunobullous Dermatoses2022
Author(s)
Hashimoto, T., Tsuruta, D., Tateishi, C., Ishii, N., Bagherani N
Total Pages
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Publisher
Springer Nature Switzerland AG
ISBN
978-3-319-53808-2
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