2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of sweat allergy development and mast cell activation mechanism
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21K08346
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秀 道広 広島大学, 医系科学研究科(医), 専門研究員 (50284188)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 汗アレルギー / 角化細胞 / コリン性蕁麻疹 / クラウディン3 / 感作 / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
コリン性蕁麻疹は、我が国においては特発性の蕁麻疹、機械性蕁麻疹に次いで多い蕁麻疹の病型であるが、海外からの論文報告は限られている。一方、研究代表者らは、コリン性蕁麻疹における汗アレルギーおよび慢性蕁麻疹における血的凝固能亢進を明らかにしてきた。本研究では、コリン性蕁麻疹における汗アレルギーによる皮膚マスト細胞の活性化と、血液凝固能亢進という特発性の蕁麻疹との共通病態に加え、発汗神経から遊離される神経ペプチドの役割に着目してコリン性蕁麻疹の病態の全容を明らかにする。 具体的には、1)汗腺のバリア障害による経皮感作の解析、2)表皮の障害による経皮感作の解析、3)コリン性蕁麻疹における真皮内への汗の漏出と汗アレルギーの関係、4)コリン性蕁麻疹患者血漿の血液凝固系とC5活性化能の評価、5)発汗神経に含まれる神経ペプチドによる皮膚マスト細胞活性化とC5活性化の検討、の5つのテーマで研究に取り組む。 令和3年度は、特に1)と2)を中心に取り組み、1)ではBalb/cマウスを背景として汗腺上皮細胞のバリア機能蛋白であるclaudin-3をノックアウトしたマウスの作製に取り組み、系統を樹立した。2)では未精製のヒト汗をオブアルブミンとともにヘアレスマウス皮膚をテープストリッピングして経表皮的、またはマイクロニードルを用いて直接真皮に注射すると、IgE産生におけるアジュバント効果があること、また、未精製ヒト汗を培養角化細胞に添加するとある種のサイトカインの産生を誘導することを見いだした。この効果はこれまでに報告がなく、かつ角化細胞の種類により反応の違いがあることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している5つのテーマの中には今年度未着手のものもあるが、取り組んだ2つのテーマについて予定通りの成果が得られ、かつヒト汗が角化細胞に対してこれまで知られていなかったサイトカイン産生の誘導作用を持つことが明らかになった。この知見は今後コリン性蕁麻疹のみならず汗により症状が悪化することが知られているアトピー性皮膚炎の病態解明と新たなスキンケアの方法の開発にも繋がる可能性があり、この点においては当初の予定を上回る成果と言える。以上を総合し、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は引き続きヒト汗によるアジュバント効果の免疫グロブリン特異性および抗原特異性について検討すると共に、ヒト汗が角化細胞のサイトカイン産生を誘導する機序を解析する。さらにマウスおよびヒト皮膚組織から汗腺細胞を分離して単細胞RNAseq解析を行い、発汗障害における遺伝子発現プロファイルをあきらかにする。 令和5年度は、神経ペプチドがヒト皮膚マスト細胞のC5aに対する反応に及ぼす影響、汗腺のタイトジャンクションを形成するクラウディン3ノックアウトマウスを用いて汗の真皮内への漏出によるアジュバント効果を検証、解析し、得られた結果をとりまとめて成果を発表する。
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