2023 Fiscal Year Annual Research Report
同種臍帯血移植後に生じる抗白血病NK細胞の解明とその生体外誘導法の検討
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21K08363
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 寿行 山形大学, 医学部, 教授 (10396476)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 臍帯血移植 / NK細胞 / KIRリガンド不適合 / 急性骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も引き続き東北大学病院において実施された初回臍帯血移植例の移植後の単核球保存を継続した。2022年度にNK細胞遺伝子発現解析を行った24例と条件をそろえるため、単核球を分離した後、凍結保存し、その後融解してNK細胞分離、ncounterによる遺伝子発現解析を行った。新たに解析を行った12例は、近年のハプロ移植の増加に伴う臍帯血移植例の減少によって、新たなKIRリガンド不適合例の追加ができなかった。またサイトメガロウイルス(CMV)再活性化予防薬がすべての移植で用いられるようになり、CMV再活性化例も大幅に少なくなった。昨年度までの24症例と合わせ合計36例の解析により以下の結果が得られた。 これまでの臨床データの解析からGVHD予防にMTX使用かつKIR2DLリガンド不適合がある例(MTX+KIR2DL)および、KIR3DLリガンド不適合かつCMV再活性化がある例(CMV+KIR3DK)において移植後再発が低下することを示してきた。このため、上記を満たす例とそれ以外との比較を行った。MTX+KIR2DLは36例中3例しかおらず、統計学的有意差は得られなかったものの、HLA-DRB1、HLA-DRB3、IRF4、CXCL12の発現が亢進する傾向を認めた。CMV+KIR3DLは6例とやはり少なかったが、LEF1、IL18R1、TNFRSF1の発現が亢進する傾向を認めた。症例が少ないことからMTX例に限定しない5例で比較を行った場合、IRF4、CXCL12遺伝子については有意な差ではないものの発現亢進する傾向を認めた。これ以上のKIRリガンド不適合移植例を集積することは困難と判断しMSCとNK細胞共培養の条件検討を進めた。 また、RUNX1-RUNX1T1急性骨髄性白血病に対する臍帯血移植成績を解析した所、他のドナーソースと比較し治療成績が優れることを見出し学会発表した。
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