2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of CAR-T cells to treat recurring leukemia post-HCT by targeting mismatched HLA-DP
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21K08369
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (70333391)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HLA-DP / CAR-T細胞 / 遺伝子改変T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は同種造血細胞移植例の第一死因となっている移植後再発白血病の予防・治療法の開発である。非血縁者間ではHLA型10座中10座適合移植例でも約7割の患者がHLA-DP座に関しては不適合となるため、不適合HLA-DP型分子に特異的な抗体を作成し、これをキメラ抗原受容体T細胞に応用し、再発した患者型HLA-DPを発現する白血病を治療するものである。 HLA-DP型のサブタイプ間は数アミノ酸以下の多型しか存在しないため、この僅かな違いを認識出来るような抗体産生ハイブリドーマを効率良く選択することが必須である。HLA-DP蛋白の大量精製は時間を要するため、本年度はモデル抗原として医薬品である複数のヒト化抗体を用いた。具体的にはElotuzumabをFreundのアジュバントと混合しBalb/cマウスの腹腔内に3回投与した後に脾臓を取り出し、P3-X63骨髄腫株と融合した。短期間培養後にFITC標識ElotuzumabおよびAPC標識ヒト化抗体Mixで染色し、フローサイトメトリーで検討したところ、0.8~2.5%程度のハイブリドーマがElotuzumabのみに反応したため、フィーダー細胞存在下でクローニングを行った。1ウェル当り5細胞の濃度で480ウェル培養したところ、49ウェルに増殖があり、うち20ウェルが全てのヒト化抗体と反応、5ウェルがElotuzumabに特異的(約10%)であった。次いで2つのウェルについてサブクローニングを行ったところ38ウェル中1ウェル、30ウェル中30ウェルがElotuzumabに特異的であった。まだPlating効率の改善は必要であるが、その他の条件設定は終了したと判断し、次にHLA-DPB1*09:01でマウスを免疫し、DPB1*09:01以外のDP型分子でハイブリドーマのネガティブ選択を行い、クローニングを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗が遅延している原因として2点が挙げられる。 1つ目の問題点は免疫したマウスの脾臓B細胞とP3-X63骨髄腫株の融合効率が低かったことと、クローニング後のPlating効率が低いことであった。当初の計画ではマウスを目的とする抗原で免疫後に脾臓のB細胞を回収した後に、先に蛍光標識抗原を用いて目的とする抗原のみで標識されるB細胞をフローサイトメトリーでソーティングし、シングルセルレベルで骨髄腫株とのハイブリドーマ形成をさせることを目指していた。しかしソーティング後のB細胞は融合操作に対して低感受性であり、諸条件を検討したがHAT培地で選択後にほとんど増殖を認めることが出来なかった。 2つ目の問題点はマウスの免疫やその後のスクリーニングに用いるHLA-DP蛋白の量的制限であった。HLA-DPはHLA-DPα鎖、β鎖および2つの分子が形成する溝にはまり込む抗原ペプチドからなる3量体であり、単一蛋白のように単に発現させるだけで大量のHLA-DPを得ることが出来ない問題があった。他方、マウス免疫には1回で30-50μgを要するため、共同研究先から供給を受けるだけでは限界があった。さらに対費用効果から市販品の利用は困難であった。 以上2点について、対応策の検討を行っていたため時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1つ目の問題点については、ソートしたB細胞ではなく、従来通りまずバルクの段階で骨髄腫細胞株とハイブリドーマを形成させた後に蛍光標識抗原への反応性を目安にソーティングを行い、直接96ウェルプレートに播種することとした。さらに融合もPEGではなく、センダイウイルスを応用した試薬に切り替えた。これにより目的とするハイブリドーマの増殖を得ることが出来るようになった。しかしPlating効率はまだ十分とは言いがたいため、さらにソートした1細胞のハイブリドーマを確実に支持する遺伝子導入等によりIL-6等を産生するフィーダー細胞を作成することと、培養液の組成に修正を加えることで解決が可能と考えている。 2つ目の問題点については、現在HLA-DP分子を分泌蛋白として回収する系をすでに開発しつつある。LeucinジッパーとHis-tagを組み込んだα鎖、β鎖発現ベクターは完成しており、これをクラスII-MHCの発現が可能な細胞株に導入し、無血清培地下で大量に生産し、His-tagを用いて精製し実験に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)