2021 Fiscal Year Research-status Report
成人B細胞性急性リンパ性白血病における新規サブタイプ同定とその分子病態の解明
Project/Area Number |
21K08384
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Research Institution | National Hospital Organization Nagoya Medical Center |
Principal Investigator |
安田 貴彦 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, 分子診断研究室長 (20723977)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | CDX2 / IDH1/2 / subtype / AYA / adult / B-ALL |
Outline of Annual Research Achievements |
成人B細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)の長期予後は小児と比較すると極めて不良であり、その要因の一つとして、両者における白血病の生物学的特性の違いが報告されている。我々はRNA-seqの解析結果から、成人B-ALLにおいて、2つの特徴的な発現プロファイルをもつ新規サブタイプが存在することを明らかにした。本研究では、DNAを用いたターゲットシーケンスを追加で実施し、その結果の再検証を行う。新規に同定された1つのグループでは、CDX2遺伝子がこのグループに特異的な発現を示す遺伝子として検出された。CDX2がHOX遺伝子の上流であることを考慮すると、本病型の病態に中心的な役割を果たすことが示唆された。また、本病型11症例のうち、9症例(約80%)に1番染色体長腕の増幅を認めた。もう一つのグループはIDH1 R132CとIDH2 R140Q変異を持つグループである。メチル化アレイを実施したところ、メチル化アレイで得られたクラスター分類の結果と、RNA-seqとターゲットシーケンスで得られた病型分類の結果は、完全に一致していることが明らかとなった。解析した病型の中で、同グループは最も強く高メチル化しており、IDH1/2変異の機能的意義と矛盾しないことが分かった。2つの新規グループはいずれも既存の病型とは完全な排他性を示していた。以上の結果より、新規サブタイプの存在は再検証された。本研究の成果は、予後不良の成人B-ALLの分子遺伝学的特性を明らかにし、新しい治療戦略の確立に向けた基盤情報としての意義を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA-seq、ターゲットキャプチャーシーケンスを合計354症例のAYA・成人B-ALL症例に対し、実施した。発現データとゲノムデータを統合的に解析したところ、2つの新規サブタイプの存在を再度確認することに成功した。1つのグループ(n = 11)に特異的な発現を示す遺伝子を求めたところ、CDX2遺伝子が有意な遺伝子の一つとして検出された。興味深いことに、本病型11症例のうち、9症例(約80%)に1番染色体長腕の増幅を認めた。もう一つのコホートはIDH1/2変異を特徴とするサブタイプである。IDH1 R132CとIDH2 R140Q変異を認めるグループであり、他の既知のサブタイプとは排他的であった。これらのグループのメチル化解析を実施したところ、既存のサブタイプとは明瞭に区別される高メチル化を呈していた。以上のことから、両サブタイプが存在することは裏付けられた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析により、サブタイプの存在に関する検証は完了した。今後はその病態の解明のため、引き続き分子生物学的な実験を進めていく必要がある。CDX2高発現のグループはその病態はほとんどわかっていない。他のグループからUBTF-ATXN7L3 fusionが検出されており、本融合遺伝子が病態形成のkey moleculeになっている可能性がある。そこで、このfusionの発現ベクターを作成し、マウスの移植アッセイ系を利用することにより、本融合遺伝子の生物学的意義を明らかにする。また、本融合遺伝子単独の場合、CDX2発現と共発現させた場合の両方のアッセイを実施することにより、両遺伝子の協調作用を検証する。IDH1/2変異のサブタイプに関しては、その有用な阻害剤が存在することから、まずは臨床検体を用いて、in vitroで阻害剤の効果を検証する。効果が見られた場合は、PDXモデルを樹立し、in vivoでの効果も検証する。
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Causes of Carryover |
予想以上に研究は順調に進み、比較的少ない予算で当該年度の目標は達成された。次年度は、マウスの実験等、病態解明に向けた実験を予定しており、その達成に向けた研究費として残額を次年度に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)