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2021 Fiscal Year Research-status Report

造血におけるSamd9/9L変異体の機能解析と新規ヒト様モデルマウスの作製

Research Project

Project/Area Number 21K08395
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

長町 安希子  広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (20585153)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsSamd9/9L / 骨髄異形成症候群
Outline of Annual Research Achievements

サイトカイン代謝の制御因子であるSamd9とSamd9L遺伝子(以降Samd9/9L)は、7q欠失MDSの責任遺伝子として知られているが、近年、機能獲得型の変異が、非常に稀な幼児の7q欠失MDSが多発する「Samd9/9L症候群」を引き起こすことが報告された。しかし報告された変異はSamd9/9L遺伝子上のドメインの有無に関係なく、広範囲に複数存在しており、しかも報告される変異の数は年々増え続けている。Samd9/9Lの変異体の詳細な解析がなされていないことから、樹立したSamd9/9L症候群モデルマウス(Samd9L変異マウス)とSamd9L欠損マウスを用いて、造血細胞における変異体の機能を明らかにすることを目的に検討を進めた。変異マウスは貧血を中心とする造血不全を呈するが、特に末梢血液中で成熟したT・Bリンパ球の著減が見られる。そこで変異マウスの骨髄における、Bリンパ球細胞の各分化段階の細胞数を確認したところ、幼弱なPre Pro-B細胞は正常マウスと同程度の割合で存在しているのに対し、Pro-B細胞以降の成熟した細胞が顕著に減少しており、Pre Pro-BとPro-Bの間で分化障害が生じていることが分かった。また、今年度は、変異マウスとSamd9L欠損マウス、野生型マウスからSCF, Flt-3L, IL-7依存性の人工白血球幹細胞である、iLS細胞を樹立した。樹立した細胞はタモキシフェンによって分化誘導・停止が制御されているため、タモキシフェンを除去しIL-3を添加することにより分化を誘導したところ、変異マウス由来のiLS細胞ではMac1陽性のミエロイド系細胞とCD3e陽性のリンパ系細胞の分化能の低下が見られ、マウス個体由来の造血前駆細胞の表現型とほぼ同じ特徴を示すことが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

おおむね予定通りに進行している。今年度は、当施設の動物飼育施設の建て替えのため、遺伝子改変マウスを全てクリーニングする必要があったことから遺伝子改変マウスの準備が予想以上に遅延し、マウスを使用したin vivoでの検討が遅れた。しかし、代わりにiLS細胞の樹立を先行させ、予定より早期に細胞の樹立に成功した。

Strategy for Future Research Activity

来年度は、変異マウスモデルの造血幹細胞の特性を精査する。事前の検討により、変異マウスの造血細胞では骨髄再構築能の低下が認められた。そこで、これらマウスの造血幹細胞の特性をより深く検証するため、造血幹細胞のBrdU/PyroninY染色による細胞周期の検証とLimiting-dilution assayによる骨髄生着能の検討を実施する。続いて、変異マウスと欠損マウスの骨髄微小環境の差違について検討するため、変異マウスと欠損マウスをレシピエントとした骨髄移植実験を行い、ドナー由来造血細胞の生着や分化能について検討する。また、変異マウスでみられたPre Pro-BとPro-Bの間での分化障害の原因として、Bリンパ球細胞が分化に必要とするIL-7などのサイトカイン代謝能に異常が生じている可能性が考えられることから、今年度に樹立したiLS細胞を用いて、各種サイトカイン類の細胞内への取り込み率をSHIP assay法により測定し、細胞の未分化能の維持や分化誘導時の変化について検討を行う。さらに、Samd9とSamd9Lの変異体機能が個体レベルで検証できる、新しいヒト様マウスモデルを作製するため、ベクター作製とES細胞の樹立に着手する。

Causes of Carryover

当施設の動物飼育施設の建て替えのため、予定していた遺伝子改変マウスの実験が遅延したことと、予定していた国内学会・国際学会がオンライン開催となり、交通費が発生しなかったことによる。繰り越した助成金は来年度の実験に使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] UTX maintains the functional integrity of the murine hematopoietic system by globally regulating aging-associated genes2021

    • Author(s)
      Y. Sera、Y. Nakata、T. Ueda、N. Yamasaki、S. Koide、H. Kobayashi、K. Ikeda、K. Kobatake、M. Iwasaki、H. Oda、L. Wolff、A. Kanai、A. Nagamachi、T. Inaba、Y. Sotomaru、T. Ichinohe、M. Koizumi、Y. Miyakawa、Z. Honda、A. Iwama、T. Suda、K. Takubo、H. Honda
    • Journal Title

      Blood

      Volume: 137 Pages: 908~922

    • DOI

      10.1182/blood.2019001044

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Multiorgan failure with abnormal receptor metabolism in mice mimicking Samd9/9L syndromes2021

    • Author(s)
      Nagamachi Akiko、Kanai Akinori、Nakamura Megumi、Okuda Hiroshi、Yokoyama Akihiko、Shinriki Satoru、Matsui Hirotaka、Inaba Toshiya
    • Journal Title

      Journal of Clinical Investigation

      Volume: 131 Pages: e140147

    • DOI

      10.1172/JCI140147

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Revertant somatic mosaicism as a cause of cancer2021

    • Author(s)
      Inaba Toshiya、Nagamachi Akiko
    • Journal Title

      Cancer Science

      Volume: 112 Pages: 1383~1389

    • DOI

      10.1111/cas.14852

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Involvement of IFNγ in the development of 7q-/MDS in patients with SAMD9/9L syndromes2021

    • Author(s)
      Akiko Nagamachi, Hirotaka Matsui, Akinori Kanai, Satoru Shinriki, and Toshiya Inaba
    • Organizer
      第80回日本癌学会学術総会
  • [Presentation] Involvement of IFNγ in the development of 7q-/MDS in patients with SAMD9/9L syndromes2021

    • Author(s)
      Akiko Nagamachi, Hirotaka Matsui, Akinori Kanai, Satoru Shinriki, and Toshiya Inaba
    • Organizer
      第83回日本血液学会学術総会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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