2023 Fiscal Year Research-status Report
p53シグナルの機能的ヒエラルキー変化による悪性リンパ腫の分子標的治療耐性の解明
Project/Area Number |
21K08396
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小島 研介 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (10332793)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | p53 / MYC / 急性骨髄性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血器腫瘍は免疫化学療法や放射線治療に感受性が高いが、これら治療は腫瘍細胞のp53の再活性化と、その下流の細胞死誘導性p53シグナルの活性化を惹起する。造血器腫瘍ではp53シグナルの活性化が細胞死をきたしやすく、通常抗がん剤や放射線治療感受性が高い。このようにp53シグナルは造血器腫瘍治療のキーとなるシグナルではあるが、それのみでは、少なくとも一部の患者では治癒をもたらすことができないことも明らかになっている。最近、造血器腫瘍では異常シグナルを標的にした p53非依存的に薬効を示す分子標的治療が利用されるようになっている。それにも関わらず、実地診療では耐性化とともに p53異常クローンの拡大が認められる。本研究では、分子標的治療によるp53シグナルとの干渉、そしてp53シグナル修飾と機能的ヒエラルキー変化による分子標的治療耐性機序を解明することを目指した研究において、BCL2阻害耐性の新規耐性因子としてのMYCシグナル異常と、そして p53活性化を惹起する分子標的薬が p53シグナル依存性にMYCシグナルを抑制することを見いだした。研究成果は Sience Advancesに報告した。 Nishida Y, Ishizawa J, Ayoub E, Montoya RH, Ostermann LB, Muftuoglu M, Ruvolo VR, Patsilevas T, Scruggs DA, Khazaei S, Mak PY, Tao W, Carter BZ, Boettcher S, Ebert BL, Daver NG, Konopleva M, Seki T, Kojima K, Andreeff M*. Enhanced TP53 reactivation disrupts MYC transcriptional program and overcomes venetoclax resistance in acute myeloid leukemias. Sci Adv. 2023;9(48):eadh1436. 現在、MDM2-p73/p53シグナルを含めた研究をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主な研究成果は Sience Advancesに報告した。 Nishida Y, Ishizawa J, Ayoub E, Montoya RH, Ostermann LB, Muftuoglu M, Ruvolo VR, Patsilevas T, Scruggs DA, Khazaei S, Mak PY, Tao W, Carter BZ, Boettcher S, Ebert BL, Daver NG, Konopleva M, Seki T, Kojima K, Andreeff M*. Enhanced TP53 reactivation disrupts MYC transcriptional program and overcomes venetoclax resistance in acute myeloid leukemias. Sci Adv. 2023;9(48):eadh1436. 当該科研費によって他に幾つかの英文報告もなしており、最近にいたり予定通りに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
p53シグナル依存性の細胞死誘導は、p21発現集団では低下し耐性化をきたしうるが、このポピュレーションはBCL2阻害に感受性が高いことを見いだしており、治療学上の相補性を有することがわかった。p53のマスターレギュレーターであるMDM2に関して、MDM2-p53結合の阻害は臨床試験を含めてp53ダブルヒット変異では無効であったが、MDM2の分解促進は部分的にp73シグナルを介した腫瘍細胞死を誘導することが報告されており、今後MDM2-p73/p53シグナルを含めた研究を進めてゆく。
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Causes of Carryover |
研究費は試薬等に試用し、研究成果の報告もおこなった。臨床診療科であり、COVID-19流行のために移動を制限したために次年度使用額が生じた。試薬もしくは学会旅費に使用する計画である。
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