2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Role of Fibrinolytic and Coagulation Factors, a Subset of Angiocrine Factors in Cytokine Storm-Associated Diseases
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21K08404
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
服部 浩一 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任先任准教授 (10360116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 聡 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (60226834)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンジオクライン因子 / 血管内皮 / プロテアーゼ / バイオマーカー / COVID-19 / 遺伝子発現 / がん増殖 / 核酸製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者らは、日本人とドイツ人の患者データの比較から、人種的背景や基礎疾患に応じた血管内皮性状、アンジオクライン因子の発現、産生の相違がCOVID-19の重症化、サイトカインストーム症候群(CSS)の発生に関与していることを明らかにした。またCOVID-19の患者検体と健常人検体との比較から、血中の非複合型プラスミノーゲンアクチベータインヒビター(PAI-1)の増加、そしての遊離型ウロキナーゼ型PA(uPA)濃度の減少、uPA/PAI-1濃度の減少が、COVID-19の重症度と相関性の高いことを明らかにした。代表者らは、これらの線維素溶解系(線溶系)因子動態が、COVID-19重症化のバイオマーカーとしての有用性を提示した。さらに代表者らは、アンジオクライン因子CD40に対するsiRNA製剤のCSSに属する移植片対宿主病に対する有効性を確認した。 代表者らは、CSSに属するカヘキシアの原因となる大腸がんなど多くの悪性腫瘍で、ジンクフィンガープロテイン296が陽性で、これががんの形質転換に作用している可能性を示唆した。また悪性黒色腫の病態では、アンジオクライン因子である組織型PA(tPA)が腫瘍増殖を促進し、tPAの受容体にあたるlow density lipoprotein receptor-related protein-1の発現が、がん抑制遺伝子p53、miR-103/107の発現に逆相関すること、そしてプラスミン活性阻害剤の投与及び一部のハーブオイルにもメタロプロテアーゼの活性阻害を通じ、悪性黒色腫の増殖、そしてCSSの発生自体を抑制する作用があることを明らかにした。本研究成果は、血管内皮障害に基づくアンジオクライン因子の分泌が、サイトカインストーム、CSS発生の端緒となっており、これらをバイオマーカーとした早期診断、分子標的とした治療法の可能性を示唆したものである。
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