2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K08405
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
増渕 菜弥 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (00791641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 直 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副部門長 (00321787)
小松 則夫 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50186798)
荒木 真理人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (80613843)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄増殖性腫瘍 / Calreticulin / 分子シャペロン / サイトカイン / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(MPNs) は、造血幹細胞に後天的な遺伝子変異が生じ、血球の異常増加や骨髄の線維化を呈する造血器腫瘍である。MPN患者はQOLの著しい低下を招く脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが高く、時に急性白血病へと病型移行する。治療関連死のリスクを伴う造血幹細胞移植以外には根本的な治療法が無い上に、高齢の発症者が多いことなどから移植適応症例はごく僅かであり、発症メカニズムの解明による有効な治療戦略の確立が求められている。研究代表者らはこれまでに、MPN患者の一部に共通して見出されるCalreticulin (CALR)変異遺伝子産物(変異型CALR)が、細胞内分泌経路でトロンボポエチン受容体に結合すること、細胞表面でトロンボポエチン受容体のMPLを活性化し、サイトカイン非依存性の細胞増殖を引き起こすことを明らかにしている。本年度は、変異型CALRが細胞表面のMPLを活性化するメカニズムを解明するために、組換えタンパク質として精製した変異型CALRを、MPLを発現させたBa/F3細胞に作用させた際に生じるMPLの活性化について解析を行った。その結果、研究代表者が見出した特定の条件において、Ba/F3細胞は変異型CALRの濃度依存的に増殖した。また、この条件では変異型CALRの添加によってMPL下流シグナル分子が活性化していた。これらのことから、変異型CALRは細胞外からMPLを活性化することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、変異型CALRを細胞外からMPLに作用させた際に、MPL下流のシグナル伝達経路を活性化する条件を明らかにしたことから、変異型CALRによるMPL活性化機能の啓明は順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、変異型CALRによって活性化されるMPLを発現する細胞表面のMPLを精製し、質量分析を用いて変異型CALRによって活性化されるMPLの翻訳後修飾を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究計画のうち、変異型CALR添加時のMPLの活性化の解析が予想外に進行し、質量分析法による解析を行わなかったため余剰が発生した。次年度、変異型CALR発現細胞に特異的なMPLの翻訳後修飾の解析に使用する。
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