2021 Fiscal Year Research-status Report
TKI治療抵抗性の慢性骨髄性白血病細胞に対する新規治療戦略の開発
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21K08406
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高久 智生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20408256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 真理人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (80613843)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ阻害薬治療抵抗性 / ゴーストサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病(CML)は、2000年のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の開発により患者の予後は大きく改善した。さらに現在では計5種類のTKIがCML診療に用いられており、既にCMLは患者の予後を規定する因子ではなくなっている。しかし、TKI治療によるCML患者の10年生存率は90%程度である一方で、TKI治療の中止によりその多くが再発してしまい、依然としてTKI治療中止後の寛解維持率はCML患者全体では10から20%程度と大きく限定されている。これは、TKI治療後も極少量のCML細胞が残存している事が原因であると考えられており、本研究の目的はTKI治療後も残存するCML細胞を1細胞レベルで分取し、それら残存細胞に特異的なRNA発現プロファイルを明らかにすることで、治療抵抗性のCML細胞を標的とした新規の治療戦略の構築に必要な知見を得ることである。今年度はTKI治療が奏功した患者の骨髄からCD34陽性、CD38陰性の造血幹細胞を含む細胞集団をセルソーターで96ウェルプレートに1細胞ごとに分取した上で、RT-RamDA法を用いてBCR-ABLの検出を行った。 結果として、BCR-ABL陽性細胞株であるK562を用いた実験では1細胞での分取および抽出したRNAを用いてBCR-ABLの検出に成功した。続くステップとして患者骨髄の保存細胞で同様の実験を行うも、1000細胞でのBCA-ABL検出は可能であったものの、100細胞以下の細胞から抽出したRNAでのBCR-ABL検出が困難であった。その原因としては、患者骨髄の保存細胞では細胞のバイアビリティの低下、さらには個々の患者によりBCR、ABLの切断点が異なっている可能性が考えられたため、検出方法の変更および新たにゴーストサイトメトリーを導入し、検出感度の向上を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
患者骨髄の保存細胞を用いた実験において、100細胞以下での検出が困難であった理由としては以下を考えている。 ①保存細胞自体のバイアビリティ低下の可能性 ②個々の患者における、BCRおよびABLの切断点が異なっており、増幅にもちいるプライマーが個々の患者ごとに設定する必要がある可能性 このため、研究をより推進する方法としては続く項目に記載する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進するために以下の方策を検討している。 ①個々の患者におけるBCR-ABL融合遺伝子をゲノムシークエンスにより解析し、用いるプライマーの汎用性について検討する。個々の患者で異なる場合は、可能な限り汎用性の高いプライマーの設計を試みる。 ②より高感度なBCR-ABLmRNA測定キットの導入による検出感度の向上 ③プレ実験により末梢血のBCR-ABL陽性細胞の鑑別が可能であったゴーストサイトメトリーを導入し、残存CML細胞を分取するためのプロトコールを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
若干の計画遅延により、ごく少量の差額が生じた。差額でプライマーの購入を予定している。
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