2023 Fiscal Year Annual Research Report
TKI治療抵抗性の慢性骨髄性白血病細胞に対する新規治療戦略の開発
Project/Area Number |
21K08406
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高久 智生 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20408256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 真理人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (80613843)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / ミトコンドリア / シングルセルアナリシス |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病(CML)は、2000年のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の開発により患者の予後は大きく改善した。さらに現在では計5種類のTKIがCML診療に用いられており、既にCMLは患者の予後を規定する因子ではなくなっている。しかし、TKI治療によるCML患者の10年生存率は90%程度である一方で、TKI治療の中止によりその多くが再発してしまい、依然としてTKI治療中止後の寛解維持率はCML患者全体では10から20%程度と大きく限定されている。これは、TKI治療後も極少量 のCML細胞が残存している事が原因であると考えられており、本研究の目的はTKI治療後も残存するCML細胞を1細胞レベルで分取し、それら残存細胞に特異的な RNA発現プロファイルを明らかにすることで、治療抵抗性のCML細胞を標的とした新規の治療戦略の構築に必要な知見を得ることである。今年度は、TKI治療開始前の患者の骨髄細胞および購入した健常者骨髄細胞とをゴーストサイトメトリーで解析し、UMAPに展開した上でCML患者骨髄に特徴的な細胞集団を同定し、10X法を用いてCD34陽性、CD38陰性細胞群を中心にシングルセル解析を行った。結果としては、一人目の患者検体を用いたシングルセル解析では、細胞のViabilityが解析サンプルで10%程度と高度に低下しており、CML幹細胞に特徴的な遺伝子の抽出は困難であった。2例目の検体ではViabilityの改善のため、先ずは細胞保存時に顆粒球分画を除去した上で保存、さらにはシングルセル解析に提出するまでの時間的な短縮を行った。その結果として、細胞のViabilityは80%まで改善し複数のCML細胞の特徴的な遺伝子変異の抽出に成功した。 今後は、最低でも3例のCML患者骨髄細胞の解析を行い、遺伝子の同定を進める予定である。
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