2021 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群に対する治療標的としてのSALL4の機能的解析
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21K08420
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
立津 央 熊本大学, 病院, 講師 (00433029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome: MDS)は、造血細胞の異常な増殖とアポトーシスによる細胞死によって特徴づけられる多様性に富んだ難治性疾患であり、白血病の前癌状態でもある。MDSの患者骨髄細胞においてRNAレベルではSALL4が高発現しており、転写因子SALL4のトランスジェニックマウスはMDSを発症することが報告されている。我々は、病理免疫染色、CyTOFでのマスサイトメトリーや全エクソームシークエンスの解析により、多くのMDS患者骨髄細胞で、タンパクレベルにおいてもSALL4が高発現していることを確認した。 MDS患者細胞は一般的な腫瘍と違い均一でないため個々の細胞レベルで確認する必要がある。我々は個々の細胞レベルでの発現解析をCyTOFを用いて行ってきた。今回は、MDS患者細胞においての網羅的にSALL4、p53、NAT10の関係について明らかにするためにシングルセルによる RNAシークエンスやATACシークエンスを行うことにより、SALL4がMDS細胞でどのような因子と関わり高発現しているのかを明らかにする。最終的には、本研究では、MDSにおけるSALL4のさらなる機能解析を行うことにより、現在共同研究により開発中のSALL4をターゲットとした治療の適応になりうるかを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度であり、骨髄異形成症候群患者のシングルセルRNAシークエンスシークエンスを行う準備を行っている。患者サンプルを10例の程度、細胞凍結保存液を用いて保存した。この後の解析の選択として、前研究でアッセイを確立したマスサイトメトリーと本研究の目的であるシングルセルRNAシークエンスシークエンスやATACシークエンスを行う予定としているが、骨髄異形成症候群は腫瘍でないため細胞数にも限りがあり、細胞数に合わせ、近年のテクノロジーを用いてた適切な施行計画を立て、施行後には、詳細な解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、施行可能な患者サンプルを検討し、マスサイトメトリー、シングルセルRNAシークエンスシークエンスでの解析も含め、解析を進める。
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Causes of Carryover |
2021年度まで主に、サンプルの収集を行なっており、今後、詳細なマスサイトメトリー解析やシングルセルの解析には、多くの使用額が必要となる、さらに、遺伝子解析の結果を踏まえ、学会発表、論文化も行う予定であり、その分、次年度使用額が生じた。
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