2021 Fiscal Year Research-status Report
造血幹細胞におけるRSと細胞内小器官との関連検討によるBMF発症メカニズムの解明
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21K08425
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
望月 牧子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40751300)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄不全症候群 / 造血幹細胞 / エネルギー代謝 / ファンコニ貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はFA分子の主な作用点であるDNA複製ストレス (RS)応答がその不全によってどのように造血幹細胞(HSC)を変化させるのか、またそれによってどの様 に骨髄不全症(BMF)を発症させるのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的として、特にFA HSC の細胞内小器官の変化に着目しながら解析している。in vitroのHSC培養系において薬剤を用いてRSを惹起させるとミトコンドリアのOXPHOSが上昇することが明らかになっていた。今年度はさらにFA欠損により胎児期に受けたRSが胎児HSCおよび成体HSCの細胞内小器官にどのような変化をもたらすのか、を明らかにするため、FANCD2欠損マウスを用いて胎児および 成体のHSCの細胞内小器官の状態をWTと比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FANCD2欠損胎児(E13.5 or E14.5)および成体マウスを用いてミトコンドリアのOXPHOS, ROS, リソソーム酸化活性状態を解析した結果、FANCD2欠損胎児肝HSCはOXPHOSの上昇及びリソソーム酸化活性更新がみられたが、FANCD2欠損成体骨髄HSCではそれがみられず、胎児でみられなかったROSの上昇が確認された。また、野生型成体マウスに5FUを投与後、6日目、骨髄HSCが増殖しているフェーズでもOXHPOSの上昇及びリソソーム酸化活性化更新がみられ、FANCD2欠損胎児肝HSCは野生型骨髄HSCの増殖時と同様の細胞内小器官の状態を呈することが明らかとなった。 以上は研究計画の時点で初年度に実施する予定のもので、おおよそ計画通りに遂行できたことからおおむね順調に進展している、という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
FANCD2欠損成体骨髄HSCで生じているROSの上昇の原因について検討してゆきたい。具体的にはFANCD2欠損成体骨髄HSCにFANCD2全長タンパクを遺伝子導入し、FANCD2発現を復元させるとレスキューできるのか、また、CRISPR-Cas9システムを用いてFANCD2コンディショナルノックアウトを作成し、成体特異的にFANCD2を欠損させた場合、HSCのROSの上昇は発生するのかを検討してゆきたい。さらにこれまでに得られた研究結果をまとめ、論文投稿を果たしたい。
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Causes of Carryover |
今年度は学会がオンラインに開催となり、旅費に計上していた額が次年度使用額となってしまった。今年度こそは物理的に赴いて学会に参加して行きたいのと技術習得の研修料等に使用してゆきたい。
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