2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K08430
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
木村 文彦 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 教授 (50536216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 有紀子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 助教 (00816928)
小林 真一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 講師 (50724655)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄線維症 / 線維細胞 / 多発性骨髄腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性骨髄線維症を含む骨髄増殖性腫瘍においては骨髄の線維化機序について様々な解析が加えられてきた。一方、骨髄増殖性腫瘍以外の造血器悪性腫瘍においても骨髄の線維化を合併することがあるが、その機序はよくわかっていない。これら合併した骨髄の線維化は化学療法による骨髄抑制の増悪などで予後に悪影響を与えると考えられている。 fibrocyteはⅠ型・Ⅲ型コラーゲンのような間質細胞マーカーとCD34などの造血細胞マーカーの両方を持った紡錘形の単球由来細胞で、種々の臓器の線維化病態に関与するとされる。申請者らは骨髄増殖性腫瘍の骨髄線維化におけるfibrocyteの役割について解析を進める中で、他の造血器悪性腫瘍の2次性骨髄線維化でもfibrocyte前駆細胞が末梢血中で増加していることを見出してきた。 本研究では、造血器腫瘍の中で悪性リンパ腫や多発性骨髄腫のようなリンパ系腫瘍を対象として、fibrocyteを中心に骨髄線維化機序の解析を行った。骨髄腫細胞株を収集し、対数増殖期における培養上清の保存を行った。培養上清中のfibrocyte誘導活性をスクリーニングした結果、fibrocyte誘導能を持つ細胞株1株、ほとんど持たない細胞株4株を同定した。これらの細胞株のmRNA発現をRNA-seqで解析したところ、誘導能を持つ細胞株ではとほとんど持たない細胞株と比較してTIMP1、IL-7、CCL22などの発現が上昇していた。培養上清中の複数のサイトカインの測定では、誘導能を持つ細胞株ではIL-7、CCL2、CCL22、M-CSFの増加を認めた。集積した患者血清では、線維化症例でIL-7とCCL22の相対的増加がみられた。誘導活性を低減する薬剤のスクリーニングも行っており、2次性線維化を改善する治療法の確立につながることが期待される。
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