2023 Fiscal Year Research-status Report
喘息病態における好酸球ETosisと気道上皮細胞の相互作用に関する分子生物学検討
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21K08434
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
竹田 正秀 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (30466594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 重治 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (60361234)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 好酸球 / 気道上皮細胞 / サイトカイン / 粘液産生 / 上皮バリア機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息患者の気道上皮細胞の周囲には好酸球の集積が多数みられることが知られている。好酸球は気道局所で活性化し、ETosisをきたすことが考えられる。ETosisをきたした好酸球からは、galectin-10や細胞外トラップとして知られる、DNAの放出(Extracellular Traps; ETs)が放出されることが報告されている。喘息の炎症局所では、気道上皮細胞と好酸球の 相互作用によって、気道上皮細胞からのサイトカイン産生や粘液産生機構に影響がある可能性がある。本研究では、気道上皮細胞と活性化によりETosisをきたした好酸球との相互作用について研究を行う。 2023年度は、好酸球ETosisによって放出されるETsが気道上皮細胞の細胞機能に与える影響について検討した。具体的には、ウェルプレート上でPMAにより好酸球を刺激しETosisを引き起こす。その後ETsを溶解するDNase添加群、非添加群に分け、パラホルムアルデヒドを用いて固定を行う。その状態で気道上皮細胞株NCI-H292を発育させ、24時間後の形態変化を観察した。その結果、ウェルプレート上にETsが存在している群では、気道上皮細胞の発育が悪く、ETsが気道上皮細胞の発育に関与することが示唆された。加えて同条件の気道上皮細胞株について、上皮間のバリア機能に影響するE-カドヘリンについて、免疫蛍光染色によって検討を行った。こちらについては、E-カドヘリンの蛍光染色を認める一方で、isotype controlでも蛍光染色が認められており、現在試薬濃度の調整を行い再度実験を行う計画である。今後経上皮電気抵抗も測定し、気道上皮細胞株のバリア機能についても検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はgalectin-10の気道上皮細胞機能に与える影響を検討でき、2022年度は、好酸球Extracellular trapsが気道上皮細胞機能に与える影響について特に、分化能やサイトカイン産生について当初の予定通り検討することができた。2023年度は上皮細胞のバリア機能について、E-カドヘリンについての免疫蛍光染色に取り組んだが、isotype controlでも染色性が認められており、現在試薬量の調整、実験方法の見直しを行っている。そのほか、Extracellular trapsが気道上皮細胞の分化に与える影響についてxcelligence systemを用いて今後、検討していく予定である。 2023年度も新型コロナウイルス感染症の診療における負担が大きく、研究時間が削られる影響も2023年度の進捗状況がやや遅れた一因になったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
好酸球ETosisによって放出される、galectin-10やExtracellular trapsが気道上皮細胞の分化能に関わっていることについて、xcelligence systemを用いて検討を行っていく。また、我々は近年、好酸球ETosisによるExtracellular trapsを抽出することに成功した。これまでは、ウェルプレートの下層にExtracellular traps、その上から気道上皮細胞を発育させる実験系であったが、このExtracellular traps抽出液を用いることで、気道上皮細胞株を先に発育させたうえで、その後に抽出液を加えることで、サイトカイン産生能やタイトジャンクションへの影響などについても検討を加えていきたいと考えている。加えて、従来の気道上皮細胞と好酸球Extracellular trapsの共培養の実験でもタイトジャンクションへの影響や気道上皮細胞のバリア機能の影響について検討を加えていく予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度の研究進捗状況は、特に上皮細胞のバリア機能の検討でやや遅れが発生している状況である。依然として続く、新型コロナウイルス感染症の診療により診療業務の負荷が2023年度も多かった影響もあり、研究に若干の遅れが発生した。一方で新型コロナウイルス感染症が5類となり、国内外での学会発表での成果発表を実現できた年度でもあった。 翌年度分として請求した使用計画としては、好酸球Extracellular trapsが気道上皮細胞の分化に影響しているかをxcelligence systemを用いて解析することに加え、現在細 胞外トラップ抽出液で気道上皮細胞を刺激した培養上清を保存しており、気道上皮細胞からの複数のサイトカインをBioplexを用いて検討する準備をすすめている。加えて2024年度は気道上皮細胞のバリア機能への影響について重点的に検討を加えていく予定である。また新型コロナウイルス感染症がやや落ち着きをみせており、国内外での学会等への参加や研究成果の発表も行っていく予定である。
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[Journal Article] Aggregated eosinophils and neutrophils characterize the properties of mucus in chronic rhinosinusitis2024
Author(s)
Miyabe Y, Fukuchi M, Tomizawa H, Nakamura Y, Jikei M, Matsuwaki Y, Arima M, Konno Y, Moritoki Y, Takeda M, Tanabe N, Shima H, Shiraishi Y, Hirai T, Ohta N, Takahata J, Matsubara A, Yamada T, Asano K, Miyairi I, Melo RCN, Weller PF, Ueki S.
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Journal Title
J Allergy Clin Immunol
Volume: Jan 4
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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