2022 Fiscal Year Research-status Report
間質性肺炎に対する新規マクロファージ抑制タンパク質の抗炎症・線維化作用の検討
Project/Area Number |
21K08450
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
武内 徹 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (10330078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴鹿 隆保 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (50748225)
池本 正生 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 客員教授 (80144385)
小谷 卓矢 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(講師) (80411362)
岡田 光貴 京都橘大学, 健康科学部, 専任講師 (80747569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間質性肺疾患 / 膠原病 / S100タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠原病に伴う間質性肺炎(IP)の発症や病態形成にはマクロファージの活性化が関与している。申請者らはS100タンパク質A8/A9を標的とするリコンビナントタンパク質(MIKO-1)を開発し、健常マウス群およびMIKO-I投与群・非投与群のブレオマイシン誘導性IPモデルマウスを比較することでIPにおけるMIKO-1の治療効果を明らかにした。 ブレオマイシン誘導性IPモデルにおいて、非投与群と比較してMIKO-1投与群では肺の線維化を1/3まで抑制し、肺組織を用いた定量PCR法でIL-6、IL-1β、TNFα、F4/80のmRNA発現が健常群と比較して非投与群では有意に増加し、MIKO-1投与群では健常群と同レベルまで低下した。また、線維化因子であるTIMP-1のmRNA発現も健常群と比較して非投与群では有意に増加し、MIKO-1投与群では健常群と同レベルまで低下した。MMP-9は非投与群では低下したが、MIKO-1投与群は健常群と同程度であった。 チオグリコール酸処理をしたマウス腹腔マクロファージを用いてin vitroにおけるMIKO-Iのマクロファージに対する作用を検討した。コントロールに比べてMIKO-I投与によりマクロファージのCD64発現が増強し、CD163発現が抑制された。また、培養上清中のIL-10およびIL-12濃度が増加した。腹腔マクロファージのmRNA発現についてもCD64、IL-10およびIL-12が増加していた。 以上より、ブレオマイシン誘導性IPモデルマウスにおいてMIKO-1は炎症性サイトカインを調節することで肺組織における炎症および線維化を抑制すること、さらにin vitroにおいて線維化と関連があるマクロファージのM2への分極をMIKO-Iが抑制することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロファージを用いたin vivoおよびex vivoの実験系が確立できているため進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
MIKO-1はS100タンパク質A8/A9を標的とする分子であり、マクロファージに取り込まれ炎症性サイトカイン産生の抑制やM2への分極抑制などにより作用すると考えられるが、細胞への取り込み、標的分子などMIKO-1の作用機序について解析は十分できていない。今後は、マクロファージに対するMIKO-1の作用機序、リンパ球、好中球に対する作用についても検討する。
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Research Products
(2 results)