2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathophysiology of systemic sclerosis targeting abnormal sodium metabolism
Project/Area Number |
21K08462
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
峯岸 薫 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (40616877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 秀明 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30217723)
桐野 洋平 横浜市立大学, 医学部, 講師 (50468154)
吉見 竜介 横浜市立大学, 医学部, 講師 (70585265)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / ナトリウム代謝 / Na-MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性強皮症(SSc)は自己免疫現象を背景に、皮膚や肺などの内臓諸臓器の線維化、血管病変によって特徴づけられる膠原病であるが、未だ病態の解明が十分でなく膠原病の中でも有効な治療法の乏しい難治性疾患である。これまでにSSc患者の病態にはB細胞の活性化や分化の異常が関与していることが報告されており、近年、SSc患者に対する抗CD20抗体を使用したB細胞除去療法の臨床試験が行われ、治療効果が示されている。一方、皮膚を代表とする組織局所へのナトリウムイオン(Na+)蓄積は、p38/MAPキナーゼ経路を介する病原性Th17細胞へのT細胞の分極による自己免疫疾患増加を導くことが示され、SScの病態形成において、組織内のNa代謝異常と免疫細胞の関与が報告されているが、その詳細なメカニズムは解明されていない。本研究の目的は、ヒト組織のNa+量を測定できる23Na-MRIを用いた臨床研究と、強皮症モデルマウスを用いた解析を行うことで、皮膚に蓄積するNa+がSScを進展・増悪させるメカニズムの解明を目指すことである。 国立スポーツ科学センター(東京都)は23Na-MRIの基礎となるシーメンス社の高磁場MRI装置を保有している。初年度は、専用コイルの設置や詳細な機器の調整など、本研究プロジェクトを開始するためのセットアップを行う。次年度より23Na-MRIを用いた臨床研究および動物モデルを用いた基礎研究を開始し、SSc患者の皮膚局所の電解質動態と特有の自己抗体や代謝物質との関連を調べ、SScモデルマウスでは、皮膚のNa+蓄積の線維化における役割を調べ、どのような免疫細胞による制御を受けているかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトを遂行するにあたって最も重要である23Na-MRIの導入には、Multinuclear Optionを搭載した高磁場MRI装置が必須である。日本国内ではこのオプションを搭載したMRI装置は限定されており、本申請研究では、シーメンス社製の装置を用いて1H以外の多核種(13C, 31Pなど)を用いたMR測定に成功している国立スポーツ科学センターに23Na-MRIの導入を試みた。3.0テスラのMRI(MAGNETOM Skyra, Siemens)に、Na量を測定できる特注コイル(Stark-Contrast, Erlangen, Germany)を搭載し、コイルファイルのインストール、セッティング、撮像シーケンスのパラメータの登録を行った。次に、NaCl入りのファントムを使用してテストスキャンを行い、撮像可能な事を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
23Na-MRIの導入に成功したため、今後は画像の信号雑音比およびノイズの周波数特性を検証し、撮影した画質の精度を確認していく予定である。また、23Na-MRIを用いた臨床研究および動物モデルを用いた基礎研究を開始し、SSc患者の皮膚局所の電解質動態と病態との関連を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度は、23Na-MRIの導入と、日本人における各年代・性別ごとの組織Na+量の正常値の確立を予定していた。23Na-MRIの導入ができたが、COVID-19感染拡大の影響を受け、臨床研究の実施が困難であり、健常人のデータの測定などに使用予定であった費用の繰越しが生じた。2022年度は、健常人・患者での23Na-MRI研究を実施していく予定である。
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