2023 Fiscal Year Annual Research Report
共通病態を基盤とした高安動脈炎と潰瘍性大腸炎を包括する新規症候群の検討
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21K08469
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白井 剛志 東北大学, 大学病院, 講師 (20646997)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高安動脈炎 / 潰瘍性大腸炎 / EPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
高安動脈炎患者31名(平均年齢41歳、女性87%、17%が活動性あり)と背景をマッチさせた健常人コントロール31名の便検体を用いて16SリボゾームRNA解析をおこなった。高安動脈炎患者は健常人に比較して腸内細菌叢のα多様性に際を認め多様性が減弱していた。菌叢内でのβ多様性の比較にても健常人集団の腸内細菌叢と異なる多様性を示すことが明らかになった。Volcano plot(右図C)により高安動脈炎と健常人に差異がある菌叢が同定され、LEfSe解析により腸内細菌クラドグラムを作成した。細菌属レベルの変化として、Streptococcus、Lactobacillus、Veillonella、Enterococcusの増加と、Bacteroides, Phascolarctobacterium、Dorea、Parasutterellaの減少が同定された。 細胞内代謝を検討するにあたり、EPCRを発現する標的細胞を同定すべく末梢血由来細胞、腸管検体から単離した細胞におけるEPCRの発現を検討した。フローサイトメトリーを用いた発現解析により、免疫細胞としては骨髄系細胞にEPCRが発現していることが確認され、特に骨髄系樹状細胞において高発現を認めた。この結果は、上記の組織局在樹状細胞におけるEPCRの発現と合致し、炎症におけるEPCRの標的として、免疫細胞では骨髄系樹状細胞が重要な細胞であると考えられた。高安動脈炎においても、骨髄系樹状細胞の機能異常が病態の上流に位置しており、腸管‐血管連関における炎症の共通項である可能性が考慮された。これら細胞における細胞内代謝を特に解糖系に着目し解析を行い、腸内細菌叢異常に由来する代謝産物の測定と向炎症性の解明を進めている。
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