2021 Fiscal Year Research-status Report
高選択性JAK3阻害薬創生に向けたJAK3活性化の時空間的制御機構の解明
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21K08474
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天野 勇治 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (50624681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 敏一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60212023)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | JAK3 / 免疫抑制薬 / サイトカインシグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
予備的実験からJAK3のエンドソーム局在化が、エンドソームの酸性pH依存的に生じる結果を得ている。本年度はまず、エンドソームの酸性化阻害がJAK3シグナルに及ぼす影響について精査した。末梢血単核球をそれぞれ作用機序の異なるエンドソーム酸性化阻害薬存在下でサイトカイン刺激し、下流シグナルを確認した。その結果全てのエンドソーム酸性化阻害薬は、JAK3を介するIL-2,IL-7,IL-15のシグナルを阻害した。一方JAK3を介さないIL-6,IL-10,IFNa,IFNgシグナルには影響を与えなかった。続いてこれらエンドソーム酸性化阻害薬が、サイトカイン依存性の細胞増殖に与える影響について検討した。IL-3依存性の増殖を示すBa/F3細胞にIL-2Rb,IL-4Ra,IL-7Raをそれぞれ導入し、各種エンドソーム酸性化阻害薬存在下でIL-3またはIL-2,IL-4,IL-7で刺激し増殖を確認した。その結果、全てのエンドソーム酸性化阻害薬がIL-2,IL-4,IL-7依存性の細胞増殖を選択的に抑制することを確認した。続いてJAK3の酸性pH依存的なエンドソーム局在化メカニズムについて検討した。酸性pH依存的なエンドソーム局在化メカニズムとして、FYVEドメインとPI3Pの結合が知られている。この結合には亜鉛イオンが必須であることから、キレート剤であるEDTA存在下での細胞分画を行いJAK3のエンドソーム局在におけるFYVEドメインの関与について確認した。その結果、EDTA濃度依存的なJAK3の膜からの解離が確認され、JAK3のエンドソーム局在化にFYVEドメインタンパク質が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンドソーム酸性化阻害薬については、計画当初より予想していたJAK3シグナル特異的な阻害作用をin vitro, ex vivoで確認することが出来た。予備実験段階ではあるが、同様の効果がin vivoにおいても既に確認出来ている。JAK3の酸性pH依存的なエンドソーム局在メカニズムにおいても、アダプターとして機能すると予測されるFYVEドメインタンパクの候補を既にいくつか得ており、概ね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症マウスを用いたエンドソーム酸性化阻害薬の抗炎症作用について詳細に解析を行う。予備的実験において良好な結果を得ており、順調に進むと思われる。エンドソーム局在化メカニズムについては、アダプター候補分子のJAK3結合能の確認を第一に行う。結合が確認された分子については、変異体を作成し結合領域同定へと進める。
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Causes of Carryover |
動物購入費等で次年度の必要経費が多くなることを見越したため。
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