2022 Fiscal Year Research-status Report
高選択性JAK3阻害薬創生に向けたJAK3活性化の時空間的制御機構の解明
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21K08474
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
天野 勇治 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (50624681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 敏一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60212023) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | JAK3 / 免疫抑制薬 / サイトカインシグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の成果から、エンドソーム酸性化阻害薬がJAK3シグナルを選択的に阻害することが明らかとなった。JAK3に対する阻害作用は、自己免疫性炎症に対する抑制効果が期待できる。そこで、本年度はエンドソーム酸性化阻害薬の抗炎症効果に関する検証を行った。前年度のBaF/3を用いた解析から、エンドソーム酸性化阻害薬の中でもモネンシンが低毒性かつ高効率にJAK3依存性の細胞増殖を抑制する結果を得ている。モネンシンはプロトン/カチオン交換輸送体として機能するキャリアイオノフォアであり、エンドソームからプロトンを汲み出すことでそこで内部を中和する。まず、モネンシンと同様の作用が期待できるニゲリシン、サリノマイシンのJAK3依存性細胞増殖抑制効果を検証したところ、モネンシン同様に低毒性かつ高選択的にJAK3依存性の細胞増殖を抑制することが明らかとなった。次にモネンシンの抗炎症効果について、コラーゲン誘導性関節炎モデルマウスを用いて検証を行った。結果、モネンシンは関節リウマチ治療薬として用いられているJAK阻害薬であるトファシチニブと同程度に関節炎の発症及び重症化を抑制することが明らかとなった。更にモネンシンは関節炎症に伴い生じる脾臓の肥大化を有意に抑制した。次にモネンシンが免疫系に及ぼす影響について検証したところ、モネンシンはTh1,Th2, Tregに影響を及ぼさない一方、関節リウマチ等の自己免疫疾患の病態形成に深く関与するTh17細胞を強力に抑制することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アダプター分子の同定は難航しているが、エンドソーム中和薬の抗炎症作用について確たる結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
アダプター分子の同定に関して、JAK3結合タンパクのプロテオミクス解析により実施してきたが、FYVEドメイン等のフォスファチジル3リン酸(PI3P)結合タンパクである可能性が極めて高いことから、PI3P結合タンパクの網羅的ノックダウンを同時並行して実施する。
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Causes of Carryover |
研究計画の軽微な変更により、本年度購入予定であった試薬等の消耗品購入が次年度に繰り越されたため。
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