2021 Fiscal Year Research-status Report
抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎/急速進行性間質性肺炎の病態解明および新規治療法の開発
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21K08481
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 慎二 東海大学, 医学部, 教授 (90276238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穂積 勝人 東海大学, 医学部, 教授 (30246079)
細野 祐司 東海大学, 医学部, 講師 (60868090)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗MDA5抗体 / 皮膚筋炎 / 急速進行性間質性肺疾患 / 縦隔気腫 / 予後不良因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】皮膚筋炎(DM)に見出された抗MDA5抗体は,治療抵抗性で予後不良の急速進行性間質性肺疾患(RP-ILD)との密接な関連が知られている.また,呼吸機能の悪化につながる縦隔気腫発症のリスク因子として,RP-ILD,抗MDA5抗体陽性,皮膚潰瘍,クレアチンキナーゼ(CK)低値が報告されている.本年度は,縦隔気腫を合併した特発性炎症性筋疾患に関連する間質性肺疾患(IIMs-ILD)の臨床的特徴および縦隔気腫とILDによる死亡との関連について検討した. 【方法】2020年まで当科を受診したIIMs-ILDを対象とし,後ろ向きに単変量解析およびロジスティック回帰分析で比較検討した. 【結果】IIMs-ILD 164例中,縦隔気腫合併は23例(女性12,男性11),平均年齢60±12歳,抗MDA5抗体陽性12例,抗ARS抗体陽性8例,抗体陰性3例であった.ステロイドパルス療法は13例でおこなわれ,治療開始時のプレドニゾロン投与量の平均値は56±9mgで,死亡症例は9例であった.縦隔気腫合併群で抗MAD5抗体陽性(p=0.001)および喫煙歴(p=0.027)が縦隔気腫発症のリスク因子であったが,血清バイオマーカーとの関連は認めなかった.単変量解析で縦隔気腫合併例は有意にILDによる死亡が高頻度で(p=0.006), 縦隔気腫はIIMs-ILDの予後不良因子であった.しかし,抗MDA5抗体と縦隔気腫を説明変数としたロジスティック回帰分析では,縦隔気腫とILDによる死亡との間に関連はなく,抗MDA5抗体陽性のみでILDによる死亡と有意な関連が認められた(p=0.01). 【結論】縦隔気腫合併は IIMs-ILDの予後不良因子であった.多変量解析では縦隔気腫とILDによる死亡との間に関連は認められず,抗MDA5抗体陽性筋炎で縦隔気腫合併が多いことが交絡因子となっていた可能性が示唆された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対象となる症例の受診がなく,RP-ILD併発,非併発の抗MDA5抗体陽性血清の収集ができなかったため,予定していたI型IFNα,β,インターロイキン6(IL-6),IL-10,IL-15, IL-18,B cell activating factor(BAFF)や a proliferation-inducing ligand(APRIL)などのサイトカインをELISAで経時的に測定し,病態と深い関連を持つサイトカインを同定し,臨床経過の指標との関連を検討すること,フローサイトメトリーに用いて,抗MDA5陽性のRP-ILD併発DM患者血清中のリンパ球のプロファイルを解析し,病態の中心と考えられるサブセットを明らかにするための解析をおこなうまでに至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,次年度も鋭意,検体収集を努める予定である.近隣の施設に連絡をとり,臨床症状より,同疾患が疑わしい症例を紹介していただき,積極的に受け入れるよう努力する.
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Causes of Carryover |
本年度に予定していたRP-ILD併発,非併発の抗MDA5抗体陽性血清の収集が達成できなかったため,その検討に使用するELISA,抗体および細胞分離のための試薬などに経費を使用しなかった.今年度使用しなかった経費は,次年度に集まった検体の解析のための費用に充てる予定である.
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