2021 Fiscal Year Research-status Report
感染時にみられる好中球のエネルギー産生の場の変更機構の解明
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21K08487
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
真崎 雄一 北海道大学, 医学研究院, 講師 (60311304)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好中球 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球は、感染初期に働く重要な免疫細胞の一つである。通常、好中球は、活性酸素種の産生を抑えるために、解糖系を用いてATPを産生している。しかし、体内に病原体が侵入すると、大量のATPを必要とするため、ミトコンドリアを使ってATPを産生するようになる。これまでに、申請者は、ジメチルスルホキシドによってHL-60細胞を好中球細胞様へ分化させた細胞(dHL-60細胞)を細菌性ペプチドN-formyl-Met-Leu-Phe(fMLP)で刺激すると、極めて短時間にミトコンドリアの形態が変化し、酸化的リン酸化の量が増加すること。ミトコンドリア融合関連タンパク質Mitofusin 2(MFN2)の発現を抑えと、ミトコンドリアの形態変化と酸化的リン酸化の量が減少すること。また、fMLPの刺激による遊走能(ケモタキシス)も減少することを明らかにし報告した。さらに、最近、MFN2結合タンパク質の発現を抑えると、ミトコンドリアの形態変化とケモタキシスが抑えられるという結果を得ている。そこで、本研究では、MFN2とMFN2結合タンパク質の関係を中心に、感染に伴って起こる好中球のエネルギー産生の場(ATP産生の場)の変更機構を明らかにすることを目的とし研究を開始した。 今年度は、これまでdHL-60細胞で見出していた現象が、好中球でも見られるのか検証するために、MFN2結合タンパク質のノックアウトマウスの好中球を用い、このタンパク質が好中球のケモタキシスに関与しているのか調べた。その結果、dHL-60細胞で得ていた結果と同様、MFN2結合タンパク質のノックアウトマウスの好中球でも、正常マウスの好中球と比べ、ケモタキシスが減少していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MFN2結合タンパク質のノックアウトマウスでの好中球の検証は、本研究の計画の一つであり、dHL-60細胞で得ていた結果と同様の結果が得られている。また、MFN2とMFN2結合タンパク質の関係を分子レベルで明らかにするために必要な変異体も、ほぼ作製が終了していることから、おおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにMFN2とMFN2結合タンパク質の関係を明らかにするために必要な変異体の作製が、ほぼ終了していることから、これらの変異体を使って、MFN2とMFN2結合タンパク質の関係を分子レベルで明らかにしていく。また、ノックアウトマウスの好中球で、ケモタキシスが減少していることが明らかになったことから、ノックアウトマウスの好中球で、貪食能や活性酸素の産生量がどのようになっているか解析を進める。
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Causes of Carryover |
本年度、学会がオンライン開催となり、旅費として使用予定の予算が若干残ったが、次年度は、これらを物品費として執行する予定である。
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