2023 Fiscal Year Annual Research Report
感染時にみられる好中球のエネルギー産生の場の変更機構の解明
Project/Area Number |
21K08487
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
真崎 雄一 北海道大学, 医学研究院, 講師 (60311304)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 好中球 / ミトコンドリア / MFN2 / LRRK2 |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球は、感染初期に働く重要な免疫細胞の一つである。通常、好中球は、活性酸素種の産生を抑えるために、解糖系を用いてATPを産生している。しかし、体内に病原体が侵入すると、大量のATPを必要とするため、ミトコンドリアを使ってATPを産生するようになる。これまでに、我々は、ミトコンドリア融合関連タンパク質MFN2の発現を抑えると、ミトコンドリアの形態変化と酸化的リン酸化の量が減少し、fMLPの刺激によるケモタキシスも減少することを明らかにし報告した。そこで、本研究では、MFN2結合タンパク質であるLRRK2に注目し、fMLP刺激によるMFN2活性化のメカニズムを明らかにすることで、感染に伴って起こる好中球のエネルギー産生の場(ATP産生の場)の変更機構を明らかにすることを目的とし研究を開始した。昨年度までに、LRRK2ノックアウトマウスから得た好中球では、正常マウスの好中球と比べ、ケモタキシスが減少すること。さらに、LRRK2の発現を抑えたdHL-60細胞でも、MFN2と同様、fMLPの刺激によるケモタキシスや酸化的リン酸化の量が減少すること。LRRK2の発現を抑えたdHL-60細胞では、MFN2のGTP結合活性が低下することが明らかになった。そこで、本年度は、LRRK2とMFN2のGTP結合活性のメカニズムを明らかにするために、fMLP刺激前後のミトコンドリア分画におけるMFN2とLRRK2の存在量を調べた。その結果、fMLP刺激前後でMFN2のミトコンドリア分画における存在量は変化しないものの、LRRK2の存在量は、fMLP刺激によって増加することが明らかになった。以上の結果から、fMLPの刺激を受けると、好中球の細胞内では、LRRK2がミトコンドリア分画へ移行し、その移行したLRRK2によってMFN2を活性化するというモデルが示唆された。
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