2021 Fiscal Year Research-status Report
リバースジェネティクスを用いたSFTSVの抑制因子の同定と弱毒生ワクチンの開発
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21K08493
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉川 禄助 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (20816821)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SFTSV / 弱毒生ワクチン / ブニヤウイルス / 病原性解析 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
SFTSVはヒトだけでなく様々な動物種に感染し病態を引き起こすことが知られている。そのため、感染動物からのヒトへの感染も報告されており、ワンヘルスの観点から様々な動物種におけるSFTSVの病原性発現機構を解析することが重要である。SFTSVのNSsはヒトでの病原性に寄与していると考えられている。そこで、NSsの機能を様々な動物種由来の細胞を用いて解析した。その際、リバースジェネティクス法を用いて作製したNSs欠損SFTSVを使用した。その結果、SFTSVによって病態が引き起こされる動物種においてはNSsの自然免疫抑制機能が働くことを明らかにした。一方でSFTSVに対して低病原性とされている動物種ではその機能が弱いことが明らかとなった。 さらにその違いを明らかにするために様々な分子生物学的手法を用いて解析したところ、NSsとSTAT2の結合性に明らかな違いを見出した。 さらに、SFTSVはSTAT2KOマウスに対して高い病原性を示し致死性であるが、NSs欠損SFTSVはほとんど病原性を示さず、全て生存した。そのことから、NSs欠損SFTSVが弱毒生ワクチンとして利用できる可能性が多いにあり、様々な動物種でNSsの機能が保存されていることからヒトを含む様々な動物にたいするワクチンとして利用可能であると考えられる。 今後は、NSs欠損SFTSVをワクチンとして利用できうるかさらなる詳細な解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はSFTSVのNSsの機能に着目したワクチン及び病態発現の解析である。そのため本年度において様々な動物種でのNSsの機能を明らかにし、NSs欠損SFTSVのワクチンとしての可能性を見出した。また、SFTSVに対して低病原性であるSTAT1KOマウスにおいて特異的に発現している遺伝子のクローニングに着手している。それ故におおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、NSs欠損SFTSVのワクチン効果をマウスモデルを用いて解析する予定である。 また、遺伝子のクローニングが完了次第、それらの遺伝子の抗SFTSV効果を細胞レベルで解析する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度は元々は学会発表のための参加費及び出張費を確保していたが、コロナ禍のため学会が中止されたり、オンラインに変更となったためそれらの経費を使用することができなかった。そのため一部の研究費をR4年度に持ち越すことにした。R4年度はマウス実験を本格的に始まる予定であるため、それらに関連する試薬等を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)