2022 Fiscal Year Research-status Report
Characterization of HTLV-1 specific CTLs detected in HAM patients
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21K08494
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
菅田 謙治 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特別研究員 (10650616)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HTLV1 / HAM / 抗原特異的T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD4T細胞に感染したHTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)は感染者体内で潜伏感染を形成する。HTLV-1キャリアは長い潜伏感染後に難治性の腫瘍性疾患と炎症性疾患を発症することが知られている。前者は成人T細胞白血病(ATL)が知られており、後者ではHTLV-1関連脊髄症(HAM:HTLV-1-associated myelopathy)やぶどう膜炎などがよく知られている。特に難治性の慢性神経疾患であるHAMはHTLV-1キャリアのごく少数が発病するために、HLA型やTCRレパトアなどの宿主免疫応答が発病の惹起に強く関与している可能性が示唆されている。特にキャリアに比べて、HAM患者ではHTLV-1抗原に対して強いT細胞応答が観察され、病巣である脊髄ではHTLV-1感染CD4T細胞とHTLV-1特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の浸潤とそれに伴う炎症像が確認される。HAMに対する新規治療法としてCCR4(C-C chemokine receptor type 4)に対するヒト化モノクローナル抗体(モガムリズマブ)を投与することで生体内の感染細胞を排除する試みがなされているものの、根本的な治療法は未だに見つかっていない。HAM発症の診断マーカー(ネオプテリンやCXCL10)などが臨床で用いられている一方で、HAM発症を未然に予防するための発症予測マーカーに関する研究報告は少なく、その発見が急務となっている。本研究ではHAM患者の脊髄病変に浸潤しているHTLV-1抗原特異的CTLの遺伝子発現プロファイルに基づき、末梢血での同CTLが発現するHAMの発症リスク遺伝子を発見することを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、HAM患者検体(脳脊髄液・末梢血)とHTLV-1キャリア検体(末梢血)からCD8T細胞を回収し、シングルセル解析によってT細胞受容体(TCR)配列のクロノタイプ解析と遺伝子発現解析を行なった。前年度にHLA-A24拘束性Tax特異的CD8T細胞が脳脊髄液に集積することがわかり、HLA-A*24:02/Tax301-309マルチマーを用いて抗原特異的CD8T細胞に注目した解析を行った。又、TCRのクロノタイプ解析から得られた配列情報を利用してTax特異的TCRを人工的に合成し、Taxペプチドに対するavidityを測定した。HAM患者由来Tax特異的TCR(n=17)のavidityはHTLV-1キャリア由来の特異的TCR(n=14)に対して、強く抗原ペプチドを認識できることがわかり、HAMの発症にはCD8T細胞でのHTLV-1抗原に対するTCRシグナルの強度が重要な役割を担うであろうことが予想された。Tax特異的CD8T細胞の遺伝子発現解析ではHAM患者体内での特異的T細胞はHTLV-1キャリアに比べてケモカインレセプターなどの炎症に関与する遺伝子の発現が増加しており、HAM患者体内での特異的CD8T細胞は炎症性マーカーを強く発現する可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究でHAM患者体内のTax特異的CD8T細胞はHTLV-1キャリアと比べて、「1:Taxペプチドに対して強い反応性を持つTCRを有する、2:炎症に関わる遺伝子を強く発現する」ことがわかった。本年度は「1:Taxペプチドに強く反応するTCRを持ったCD8T細胞は抗原認識後にどのような表現型を表すのか?、2:他のHTLV-1関連疾患でのCD8T細胞はどのような遺伝子発現を表すのか?」に着目して解析を行っていく予定である。前者ではTax特異的TCRを健常者由来CD8T細胞に導入し、HTLV-1感染細胞株と共培養することで表現型の観察を行う。後者ではATL患者由来のCD8T細胞の遺伝子発現データセットを取得することでその差異を比較する。
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Research Products
(4 results)