2022 Fiscal Year Research-status Report
薬剤耐性大腸菌ST131におけるバイオフィルム形成および胃酸耐性能に関する研究
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21K08499
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Research Institution | Tenri Health Care University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (30647087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 方 天理医療大学, 医療学部, 教授 (00626814)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Escherichia coli ST131 / YahO / HdeA / CybC / タンパク質間相互作用解析 / 全ゲノム解析 / RNA-seq解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ESBLやカルバペネマーゼを産生する薬剤耐性腸内細菌目細菌は、近年Escherichia coliの菌種を中心に病院内のみならず市中においても急増傾向にあり、その急増の原因はST131といわれる単一クローンの世界的パンデミックである。しかし、そのパンデミックの原因は明らかとなっていない。われわれは過去の研究において、ST131に特異的ないくつかのアミノ酸変異を伴うタンパク質を抽出した(Nakamura A, et al. Sci Rep 2019.、Nakamura A, et al. Diagn Microbiol Infect Dis 2015.)。そのなかに、バイオフィルム形成能への関与を示唆する現在のところ機能不明なタンパク質YahOおよび可溶性チトクロームb562、そして酸ストレスシャペロンHdeAがある。われわれはST131パンデミックの原因を解明するため、これらのタンパク質の機能およびそれにともなうアミノ酸変異の影響を明らかにする。今年度は上記ST131特有遺伝子をさまざまな培養条件下でmRNA発現量に変化がともなうか実験を実施し、またバイオフィルム形成試験や酸耐性試験を表現型でも実験した。しかしながら、これらの表現型試験において優位な結果は得られなったため、現在GSTおよびHisタグ付き高発現ベクターを用いたプルダウンアッセイを実施し、タンパク質間相互作用解析を実施中である。加えて、全ゲノム解析および網羅的遺伝子発現確認のためのRNA-seq解析をパンデミッククレードC1-M27、非パンデミッククレードC1-nM27およびBの3株を対象に実施した。これらの結果から様々な新しい知見が得られており、現在バイオインフォマティックス解析を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表現型試験での証明は不可だったが、様々なゲノミクス解析を実施することで新しい知見が多く見出されている。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質間相互作用解析から特異的タンパク質の機能を予測し、その機能を表現型試験で確認する予定である。また、全ゲノム解析およびRNA-seq解析はバイオインフォマティクス遂行中である。本ゲノム解析で得られた特異的な表現型についても詳細を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度は実験が円滑に進んだため、次年度に研究費を持ち越すこととする。
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