2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the genome replication mechanism of Toga and Matona viruses by host-virus interactome analysis
Project/Area Number |
21K08500
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
坂田 真史 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (20600547)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 風疹ウイルス / マトナウイルス / ゲノム複製 / host-virus interaction |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに風疹ウイルスの非構造タンパク質へ近接ビオチン付加酵素を融合させたサブゲノムレプリコンRNA発現プラスミドベクターを用いて162の相互作用候補因子を同定した。本年度は、その中で特に因子の濃縮が認められた細胞接着因子群とmRNA代謝経路系に関与する遺伝子について、ゲノム複製並びにウイルス産生における影響をsiRNAによるノックダウンで評価した。候補因子のノックダウンをウェスタンブロット法により評価し、タンパク質発現量とウイルス産生の減少が相関する3遺伝子(TES, SRP54, RBM14)を同定した。TESはfocal adhesionやstress fiberの形成など細胞膜と細胞骨格の再構築に関与することが報告されている。風疹ウイルスのゲノム複製は形質膜やエンドソーム膜を再構築した構造体で生じると考えられていることから、TESが非構造タンパク質との相互作用を介して形質膜の再構築に関与する可能性がある。SRP54並びにRBM14は他のウイルス感染に寄与することが報告されているが、それらウイルスのゲノム複製機構が風疹ウイルスと異なるため、別の機構で感染に寄与することが推察された。風疹ウイルスを含む一本鎖プラスRNAウイルスのゲノム複製は、オルガネラ膜の再構築が生じる点で共通である。再構築の機構はウイルス種や利用するオルガネラ膜により異なり、様々な宿主因子の関与が報告されている。風疹ウイルスが属するマトナウイルス科ウイルスでは、その再構築に関与する宿主因子の報告はない。本研究で同定した3因子について、非構造タンパク質との相互作用機序やゲノム複製への関与を解析することで、マトナウイルスにおける膜の再構築やゲノム複製機構の一端が明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析対象遺伝子を162の候補から3遺伝子に絞った。各遺伝子産物のウイルス複製における寄与について、相互作用機序や細胞内局在などから解析を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
共免疫沈降法や近接ライゲーション法により非構造タンパク質との相互作用様式や細胞内局在を解析する。ウイルス複製過程のどの段階に寄与しているかを分子生物学的手法を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和5年4月1日以降となったため。 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和4年度分については大部分使用済みである。
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