2023 Fiscal Year Research-status Report
The role of healthcare environment in transmission of antibiotic-resistant bacteria and environmental infection prevention strategies using no-touch methods
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21K08504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金森 肇 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70625318)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 環境制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
大学病院で過去10年間に収集されたCPEのゲノム解析により耐性遺伝子の同定、菌株間のゲノム比較分析を行った。E. cloacae complex ST730とST252、K. pneumoniae ST17がblaIMP-1の伝播に重要な役割を担っていることが示唆された。CPEの流行クローンの特徴が明らかとなり、カルバペネマーゼ遺伝子の菌種内および菌種間の伝播を抑制するための感染制御策を確立する必要がある。 大学病院のCREの薬剤感受性検査に基づくスクリーニング法による検討では、ceftazidimeおよびcefoperazone/sulbactamを用いたスクリーニング法はMBL産生CREの検出に有用なスクリーニング法であることが示唆された。 NICUにおけるフルコナゾール耐性C. parapsilosisによる侵襲性カンジダ症のクラスターでは、シンクはC. parapsilosisのリザーバーとなるため、加速化過酸化水素による環境消毒、排水管の交換を行った。また、交差感染リスクのある調乳室では紫外線照射装置による環境消毒を行った。積極的なサーベイランス体制構築、手指衛生および環境衛生の強化がクラスターの終息に寄与したと考えられた。 2016年から2022年までの間に全国の検査センターから収集されたCREのデータ分析では、保菌を含めたCREの頻度はE. coliとK. pneumoniaeが多く、次いでE. cloacae 19%、K. aerogenes 7%であった。現在、ゲノム解析を進めている。 高齢者施設における多剤耐性菌の伝播と環境制御に関する文献レビューでは、高齢者施設では薬剤耐性菌の保菌者が多く、居室環境も同じ薬剤耐性菌で汚染されていた。医療従事者は感染伝播における施設環境の役割を認識し、環境表面の清掃と消毒に関する感染予防ガイドラインを遵守することが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学病院および全国の検査センターでの臨床分離株の菌株収集を予定通りに実施したが、菌株のゲノム解析に遅れが生じた。また、多剤耐性菌のクラスター発生が少なく、環境調査の実施例が少なかったため、研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
大学病院および全国の検査センターで収集したCREなどの薬剤耐性菌について薬剤感受性試験、PCR法による耐性遺伝子の検出、次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を行い、薬剤耐性菌のゲノム疫学的特徴を解明する。薬剤耐性菌の医療環境制御におけるノータッチ・メソッドの効果を検証する。
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Causes of Carryover |
令和5年度に計画していたゲノム解析を十分に実施できなかったため、次年度に薬剤耐性菌の全ゲノム解析を行う。令和6年度に予定している臨床由来および環境由来の薬剤耐性菌の菌株収集、薬剤感受性試験、PCR法、ゲノム解析、環境調査を行うために必要な経費として、次年度請求額とあわせて使用する計画である。
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